
- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/10/01
- メディア: ペーパーバック
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「エンドレスエイト」夏を満喫するためにプールに行ったり、盆踊りをしたり、夏の風物詩を極めるべくハルヒがSOS団を引き連れて大暴れするという内容……と、見せかけてしっかりとSFしてくれている。扱っているテーマは自分の大好きなもので非常に魅力的なのだけれど、展開がやや唐突なのが残念。主人公に現状を把握させるのと読者を作品世界に導くのを、同調させることを『涼宮ハルヒの消失』では、できているのでもう少し時間と文字数を掛けて、物語の核を見せて、かつそれを解決する方法に説得力を持たせてほしかった。
「射手座の日」SOS団がコンピュータ研究部とゲームを使って勝負するといった内容なのだが、時間軸的に『涼宮ハルヒの消失』より前であることを考慮すれば、理に適っている。むしろこれを先に読まなければ『涼宮ハルヒの消失』における展開が理解できないのではないだろうか。良かった。
「雪山症候群」書き下ろしの一編、『涼宮ハルヒの退屈』に掲載されたある一編と対になっているように見えるが、それはミスディレクションであったという罠。『涼宮ハルヒの消失』の後日談的な趣なのだが、実をいうと趣旨がよく分からなかった。まあ、それなりに楽しめたので問題ないのかな。それにしてもこのシリーズ、展開が画一的に過ぎるような気がしないでもない。
ベストなのは「エンドレスエイト」、実に良かった。