雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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禁涙境事件

禁涙境事件  ”some tragedies of no-tear land”

禁涙境事件 ”some tragedies of no-tear land”

「諸君、泣くのはよそう。涙は禁止だ。我々は生き延びた。だが、残念ながら――」

 とても不思議な読書体験をしてしまった。本書は禁涙境と呼ばれる、「あらゆる魔力が四分の一以下に抑えられてしまう」不思議な街で起こった四つの不思議な事件を描いたものである。最終的に、四つの事件が、実は全て一貫したものだったと最後で明かされ、きれいに締められるのだが、不備が多くチグハグな印象を受けた。でも、それなのに、不思議と読ませてくるのだ。読み終えてから気づいたのだが、それはきっと「どうして禁涙境では、魔力が四分の一なのか」そして「禁涙境を特殊な地にした彼は、暗殺される前に何と言おうとしたのだろうか」というふたつのとても魅力的な謎があるからだと気づいた。あまり面白くはなかったけれど、リーダビリティはとても高かった。まったく、不思議な読書体験をしてしまった……。