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夏月の海に囁く呪文 (電撃文庫 (1178))

夏月の海に囁く呪文 (電撃文庫 (1178))

 面白かった。
 夢久島という島を舞台にしたオムニバス形式の短編集。「海で“呪文”を唱えると、本当の自分の居場所に連れて行ってくれる」という噂を巡り、四者四様の物語が繰り広げられるのだが、これが実にいい。いわゆる「自分の居場所はここではないという不安感」がテーマなのだが、これへの向かい合い方に四つもの答えを提示してくれているのだ。青春小説としても優れている。
 レーベルは電撃文庫で、ツンデレなんかも出てきたりするのだが、イラストではなく写真を使ったりすることで、普段はライトノベルを読まない層への歩み寄りが見える。中身もライトノベル離れしているので、「ライトノベルだから読まない・ライトノベルは読まない」という主義を持っている人にも挑戦してもらいたい。あるいは、ライトノベルに挑戦したいと思っているけれど、いきなりライトノベル過ぎるやつは不安という人に読んでもらいたい。是非。