雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

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ニンギョウがニンギョウ (講談社ノベルス)

ニンギョウがニンギョウ (講談社ノベルス)

町田康の書いた『ラス・マンチャス通信』」を西尾維新が代わりに書いてみました、とでも言うか。非常に幻視色、幻想色が強かった。しかし、秋山がそう感じたのは、やはり大正を感じさせる装丁やデザインに、画数の多い漢字が潰れてしまうことさえ辞さないほどの掠れさせているフォントに依るところが多いだろう。雑誌掲載時に読んだとしたら、ただ単に幻想小説の真似事かと思っただけだったかもしれない。
 最近になって幻想や不条理を何作か読み、それらに耐性がついていたので本書を読むのはそれほど苦でなかった。むしろ、西尾維新の新しい境地を感じさせたし、未だ幻想を完全にものにしていないがゆえに生じる、初々しく瑞々しい筆致を楽しむことさえできた。本書は西尾維新をキャラで読んでいる人には論外、幻想小説に馴染み深い人からすれば低レベルとなるだろうが、秋山は評価したいと思う。中々に面白かった。