
- 作者: 島本理生
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/02/28
- メディア: 単行本
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原稿用紙にして740枚という分量があるらしいが、あまり長さは感じなかった。格別、軽いと言うわけではないが、村山由佳よりも少しだけ大人びている筆致が読ませてくれる。出会いや別れ、生き死にもあるにはあるが、露骨な表現が少ないので、激しくなく、妙にしっとりとした雰囲気が出ているのが印象深い。そのせいか、主人公の感情の揺れ動きの説得力があり不思議に共感してしまった。最後は悲しいと言うわけでも嬉しいと言うわけでもないのに、ちょっと涙ぐんでしまった。平坦なもの、普通なものを目指して書かれたのではないだろうか。「こう書けば泣いて喜ぶんだろ、お前ら」というような著者の笑みが見え隠れせず、実に楽しめた。面白かった。