- 作者: 小林泰三,森山由海
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/03/10
- メディア: 文庫
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収録作はいずれもハイレベルで、どの作品も楽しむことができた。角川ホラー文庫から出されているものの、小林泰三の得意とするクトゥルーを彷彿とさせる作品は少なかったように思う。「C市」と「影の国」ぐらいだろうか。「C市」は世界各国の科学者がC市という日本のある市に呼び寄せられ、そこでC(Cthulhuの頭文字)を倒す方法が模索されている。宇宙生命体の超進化形態・異次元知性体の一断面・時間的無限大に位置する究極観測者の探査針・暗在系の非生命反応……Cの正体を巡り交わされる考察の数々と造語の奔流には脳が沸騰しそうな不思議な心地よさがある。表題作になっている「脳髄工場」および「友達」「綺麗な子」といった不気味な諧謔と奇妙な哲学が共存している作品も面白かった。