926『ホームタウン』

ホームタウン

　寝しなに少しずつ読み進めていたのだが、中盤に差し掛かったところでがこーん！と心にスイッチが入ったのが分かった。もう、面白くって仕方がない。面白くって仕方がない。思わず二回書いてしまうぐらい面白くて、結局、一気に読んでしまった。
　いわゆる探偵スキルを持つ主人公による人探し系。お約束のようにトラウマを抱えているのだけれど、その設定はあまり活かされているようには見えず（＝主人公の性格は必要以上に暗くなく、理性的で知的）、悪意の描写もなく、登場人物の大半が良くも悪くもいいひとたちであり、気兼ねなく読むことができる。結末も期待を裏切らないもので、とにかくやさしい。あらゆる意味で難易度が低いと言えるだろう。個人的には『HEARTBEAT』の方が好きだけれど、勧めやすさとしてはこちらの方が断然上かな。とにかく悪意の存在しない小説なので、安心して読めるし、人にも勧めやすい。よし、他のも読もう。