雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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934『ぼくのメジャースプーン』

ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)

ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)

 実に凄絶。
 辻村深月の著作を読むのは、本書が初めて。ノベルスではあるが、カバーが凝った紙で手触りが新鮮で、目次や章扉に品のよいイラストが使われていて、そこそこの味わいを持った青春小説なのかなと思ったらまるで違った。悪意と罰を巡る物語だった。今まで人間の悪意を描いた作品は、数多く読んできたが、悪意そのものとそしてそれに対する断罪の手段として殺人以外を扱っているものは初めて。小学四年生の視点による狭い世界観、秋先生の本質に迫る問いかけ、悪意、罪、罰……。言葉にしてしまうと陳腐だけれど、実に深くて味わい深く、重いテーマを分かりやすいかたちにしている。傑作だった。