- 作者: 倉知淳,小岐須雅之
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/05/24
- メディア: 文庫
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ミッシング・リンクと動機には、やや首を捻らないでもないが、作中において充分、論理が補強されているので、特に問題はない。問題は伏線の回収に関して。恐らく、この小説の肝となっているのは、作中の登場人物全員が怪しく犯人っぽく描かれているが、その誰もが犯人ではないこと。それは、ばら撒かれた伏線から犯人の住んでいるエリアを絞ることができ、その範囲に登場人物が住んでいないことから導き出される。これは今までにない新しい推理で、本格味に溢れていると思うがしかし、逆に言ってしまえば、色々な登場人物を犯人っぽく描くのに使った伏線を放っておくことに他ならず、そのせいで探偵役および作者が伏線を、勝手に取捨選択しているように見えてしまうのだ。その点が非常に残念。