雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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1171『Pumpkin Scissors 1』

Pumpkin Scissors(1) (KCデラックス 月刊少年マガジン)

Pumpkin Scissors(1) (KCデラックス 月刊少年マガジン)

 現在、アニメで放映中の作品、その原作。アニメは未視聴だが、アニメの感想を書いているサイトを見て、それが面白かったので読んでみた。
 舞台は架空の西欧。長らく続いていた戦争は三年前の停戦条約によって終結したが、未だ各地では「戦争が人々が残した精神的傷害=人為戦災」という戦災が続いていた。二人の主人公、アリス少尉とオーランド伍長は、帝国陸軍情報部第3課――通称、Pumpkin Scissorsパンプキン・シザーズ)に所属する軍人。彼らは、戦災復興に失敗している陸軍による、臣民に対するエクスキューズだと揶揄されながらも、社会を覆う欺瞞のブ厚い皮を斬り裂き、腐敗したその実を暴き出す!
 綱渡りのような物語だと思った。第3課を率いているのは、貴族のアリス少尉なのだが、彼女がもうひたすらに青臭い。悪事を見つけては「苦しむ民を見て 貪る悪を見て 貴様は、なにも感じていないのか?」と啖呵を切るのだが、彼女自身もしっかりと見て考えてその態度を決めているわけではなく(第二話において「庶民は毎日、朝ご飯を食べれないし馬車で出勤もしない」と言われた彼女は朝食ご自粛し徒歩で出勤しようとする)、いずれ自家撞着を起こしてしまうのではないかと思う。とは言え、間違ったものでありながらそれが許容されてしまうものに対し、「それは間違っている」と正面切って戦う彼女と、彼女に付き従う、戦車を相手に戦うことのできる最強のオーランド伍長の勇姿は、読んでいて中々に爽快。きっと中盤、アリスが悩み始めてからがこの作品の本領だろうなと期待。