雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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1333『異形コレクション36 伯爵の血族 紅ノ章』

伯爵の血族 (紅の章) 21人のヴァンパイア 異形コレクション伯爵の血族 (紅の章) 21人のヴァンパイア 異形コレクション
井上 雅彦

光文社 2007-04-12
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 異形コレクションを手に取るのは、32巻以来だ。どうしていきなり異形コレクションかと言うと、やはり怪奇幻想を読むのなら異形コレクションは抑えておくべき基本だろうと考えたからと、十周年を記念して作られた『異形コレクション讀本』と合わせて読んでみたくなったからだ。
 久しぶりに読んだ異形コレクションは、端的に言って面白かった。どうしてか、異形コレクションは外れが多い作品と思っていたのだが、今回、最後まで読むに耐えられなかった作品は二作しかなかった。以下、面白かった作品をいくつか紹介したい。
三津田信三「赫眼」素晴らしかった。吸血鬼と言えば「招かれない限り、家に入ることができない」という要素が好きなのだが、この作品ではこの要素が実に絶妙に使われていた。子どもの視点というのも実に好ましい。傑作。
福澤徹三「ドラキュラの家」こちらも傑作。と言うか、子どもが主人公で、吸血鬼に扉を叩かれるシーンが出るだけで、もう好きになってしまって仕方がない。
三川祐「混血の夜の子供とその兄弟達」これは一般公募から異形コレクションに載せるようになった方の作品。読み始めは、よくある吸血鬼の息子と娘が親を討つ話かと思ったら、終盤ですごいどんでん返し。しかもリアリティ抜群。上手い!
田中文雄「森は歌う」これは雰囲気が絶妙だった。青春小説としても読めるし。この著者の違う作品も読んでみたい。