![]() | 日本怪奇小説傑作集1 紀田 順一郎 東 雅夫 東京創元社 2005-07-08 売り上げランキング : 181914 Amazonで詳しく見る by G-Tools asin:4488564011 |
収録されている作品は小泉八雲から佐藤春夫までの17作(年代で言えば、1902年〜1935年)。泉鏡花、夏目漱石、森鴎外、谷崎潤一郎、芥川龍之介、内田百けん、岡本綺堂、江戸川乱歩、川端康成、夢野久作といった錚々たる面子が名を連ねている。
収録作で特に素晴らしいと感じたのは、村山槐多「悪魔の舌」と芥川龍之介「妙な話」。村山槐多に関しては、『回廊』第12号に書評を書いたのでそちらを待っていただきたい。
芥川龍之介「妙な話」この時代の作家のなかでは、芥川龍之介がいちばん好きかもしれない。期待を抱いて読み始めたところ、どうやら語り手が「君にはまだ話さなかったかしら、妙な話があってね……」と実話怪談のように妙な話を語りだすのだ。この妙な話というのも、風情があって良いのだが、本当に素晴らしいのはこの話が語り終えられた後。座って読んでいたのだが、思わず立ちあがって「おおおお」と叫んでしまった。この鮮やかな反転! いやあ、素晴らしかった。