雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

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久住四季

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 世界そのものに影響を与えることのできる域にある“音”。それを“魔術”と呼び、その“音”を聴き/発する才能を持ったもの──“魔術師”がいるもうひとつの世界。しかし、中世の魔女狩りのため、この世界の魔学は衰え、今ではもう全人類の遺産と呼ばれる魔術師が六人ほど残るばかりである。そんな世界の、日本の、城翠大学の、魔学部の、入学式において、事件は幕を上げる『我は、今この会場内に集まった諸君の中から生贄を選定し、処刑することをここに宣言する』
 二年ぶりに再読。犯人と犯人が用いたトリックはかろうじて覚えていたが、肝心の物語がどう転ぶか忘れていたため、非常に興味深く読むことができた。と言うのも、巧いのだ。ネタの隠し方、読者の目の逸らし方、そういうミステリ読みを相手としたテクニックが随所に凝らされており、そういうのに感嘆しつつ、しかし展開は覚えていないので、楽しむことができる。そういう得難い読書体験をすることができた。非常に面白かった。また“魔術”の見せ方も上手かったように感じる。歴史的史実と著者の創造が絶妙なバランスが絡み合っていて、この世界観全体がいかにも「ありうるっぽい」のだ。