Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
- 作者: 円城塔
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/05
- メディア: 単行本
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と思ったら既に作っている方がいらっしゃいました、Self-Reference ENGINEの感想を集めてみたよ。。しかし、誰をリンクするか&どれを引用するかで、感想リンク集はその価値を変えうるので、秋山もめげずに作ってみました。基準は「新しい視点」です。ただ単に「面白い」とか「難解だった」とか、そういうところはリンクせず、「新しい読み方」を提供してくるような感想を探しました*1。感想の総数が多いと、選べていいですね。
ひとつの短編として一番、面白かったのは「Ground 256」。グレッグ・イーガン『しあわせの理由』に掲載されている傑作「闇の中へ」に通じるところもあると思う、家の内側における観念との戦いを描いたもの。毎日、本棚やらテーブルやらが現れてくるというのが面白おかしかった。
http://review.kairou.com/?eid=618867
本書の方向性は、SFというよりもむしろホルヘ・ルイス・ボルヘスさんやイタロ・カルヴィーノさんの発想に近いです。高度に発達した科学は魔法と見分けが付かないといいますけれど、極端に思考実験を突き詰めたSF小説もまた幻想小説と区別がつかないか、そもそも両者は同根のものなのかもしれません。
http://d.hatena.ne.jp/Erlkonig/20070702/1183379041
この作品は、決してSFではない。それは、舞城王太郎や佐藤友哉が決してミステリではないのと同様に。しかし、彼らがミステリのレーベル以外からはおそらく出てくることが出来なかったのと同様に、この作品はSFのレーベル以外からは出ることが出来なかっただろう。
http://d.hatena.ne.jp/sakstyle/20070606/1181114373
円城塔『Self-Reference ENGINE』が絶賛されていますね。たしかにいいけど、樺山三英『ジャン=ジャックの自意識の場合』と併読すべきだと思う。この二冊がほぼ同時に出てきたことがすごいし、テーマもどこか相補し合っているところがある。カチっとしたのとズルっとしたの。読みたがっている人もいるので、まえに後者について書いたメモをこちらにも転載しておきます。批評でもなんでもないけどね。
http://angel.ap.teacup.com/unspiritualized/77.html
巨大知性体*1の織り成す、様々な《世界》におけるお馬鹿なエピソードを20個を連ねた作品。全体的なヴィジョンが壮大過ぎ、全貌の把握はかなり難しいものの、個別のエピソードの楽しさは紛れもなく本物だ。ユーモラスな語り口も素晴らしいが、折々に挟まる、晴朗な感傷の絶妙さも読みどころ。読者は、ゲラゲラ笑っていたら、いつの間にかしんみりしていたり、心温まったりしていることだろう。この作品は、極端にペダンティック、極度に緻密である一方、非常に健康的でもあるのだ。まさに傑作。
http://d.hatena.ne.jp/Wanderer/20070602
*1:ひとつ『SRE』の感想ではないのも混じっていますが、リンクを張るべきと思いました。