
- 作者: 田代裕彦
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2007/07
- メディア: 単行本
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最後まで読んで「やられた!」とまでは思わなかったが、少なくとも「期待外れだった……」とは思わなかった。確実に及第点には達しているだろう。どれぐらいの及第点かと言うと、読まれてさえいれば今年度の本格ミステリ・ベスト10の20位内には確実に入るぐらいのレベルだ。ただ、いかんせん長い。このトリックにしてはやや煩雑だし、どうでもいいところが長く、魅せるべきところが短いため実に冗長だった。
以下、この本を読んだ他のひとの感想。
いやあ、すばらしい。この人の職人っぷりはもともと好みでしたが、これほどの物語を読ませてくれるとは思いませんでした。「処女作を書いているような気分になった」というのがわかりますね。詰め込み方が半端ないです。
http://www.booklines.net/archives/4829176466.php
まさに田代裕彦の新境地と呼ぶにふさわしい逸品。 これを機に”本格ミステリ”ファンに田代裕彦が発見されるといいなー。「平井骸惚」や「キリサキ」がもっと読まれてくれると嬉しい。
http://d.hatena.ne.jp/kirisakineko/20070716
これは面白かった! 期待以上。ひとつひとつのネタの構成要素は別に目新しいものじゃないけど複雑にせずに、なおかつ盛りだくさんにしようという気合いを感じる。構成要素は目新しくないと書いたけど、その使い方っていうか「見方」には見るべきものがあると思うし。
http://d.hatena.ne.jp/firstheaven/20070721
講談社ノベルズでイラスト表紙系の印象もある一冊ですが、ミステリフロンティアを買うつもりでどうぞ。お薦め。
http://d.hatena.ne.jp/yomimaru/20070724
ミステリ的に賞賛すべきはミスディレクションの完成度で、構図自体はそれなりによくあるパターンのため真相に見当を付けるのは難しくないが、伏線や構成などをきっちり処理しており印象は悪くない。文章が読みやすく、メタレベルで作品世界が崩壊するといったこともないので、広くおすすめしてもOKな佳品といえよう。
http://d.hatena.ne.jp/Wanderer/20070802
田代裕彦の名前は前から聞いていて、余裕があれば『キリサキ』『シナオシ』を読んでみたかったのだが、それらに手を出す前に単行本デビューである本作が刊行されたので、まずはこの作品から手に取った。結論としては実力があることは理解できたので、こういった単行本企画でもなんでも良いのでノンシリーズである本格ミステリを書いていって欲しいと感じさせる作品であった。とはいえ、技術的な力量が伺える一方で瑕疵も大きく全体の印象としては差し引きゼロである。
http://d.hatena.ne.jp/architect/20071022