ライトノベル名言図書館さんで知りました、VIPPERな俺⇒ 若いうちに読んでおいたほうがいい本ある?
真っ先に思いついたのはサン=テグジュペリ『星の王子さま』とジャン・コクトー『恐るべき子供たち』です。が、どちらも子どものときに一度読んでおいて「これつまんないなー」と思っておいて、大人になって再読して驚いていただきたい本なので、ちょっと違うかなーと思いました。そこで、ライトノベルに限定して、若いうちに読んでおきたい=若いうちでなければ楽しめない可能性の高い作品を3つ、考えてみました。
筆頭は、
デモン・スレイヤーズ!―スレイヤーズ〈15〉 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 神坂一,あらいずみるい
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2000/05/15
- メディア: 文庫
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記念すべき第1回ファンタジア長編小説大賞に準入選した、神坂一のデビュー作。神と魔王が対立している、典型的な剣と魔法のファンタジー世界を舞台に、美少女天才魔道士のリナ=インバースと、光の剣の勇者のガウリイ=ガブリエフが旅をするというもの。で、どうしてこれが若いうちでなければ楽しめないかと言うと、ノリが軽すぎるからです。
後半はだいぶシリアスになりますが、前半、特に序盤はドタバタコメディとギャグが作品の9割を占めていて、四倍角の大文字で悲鳴を上げたり、いかにも中二病的な魔法の詠唱シーンがあったり。正直、恥ずかしくて読んでられないのですよ。実際、秋山も中学生の頃は純粋に面白くて読んでいたのですが、最近になって再読を試みたところ、もう何と言うか、赤面でした。いや、まあ、面白おかしく読めましたけどね。
次は、
- 作者: 上遠野浩平,緒方剛志
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 1999/06
- メディア: 文庫
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第4回電撃ゲーム小説大賞で大賞に輝いた、上遠野浩平のデビュー作。当時にしては珍しいオムニバス形式で、複数の登場人物を主役に据えた短編がいくつかあって、それを最後まで読んで初めて事件の全体像が浮かび上がるという構造をしています。ここで取り上げたいのは、各登場人物の自意識ですかね。前述のように連作短編の形式を取っているのですが、ひとつひとつの短編で主人公を務める高校生たちが、揃いも揃って青春したり葛藤したり苦悩したり夢を見たり諦めたりしているのです。
この自分語りっぷりが、大人になってしまうと鼻につく、もしくはこっ恥ずかしくって読んでいられないのではないかと思います。秋山は本書に中学生の頃に出会い、バッチリ惚れ込んでしまった類なのですが、少しでも時期が遅ければ「けっ」とか思っていたかもしれません。今、思いついたのですが、もしかしたら現代学園異能の元祖かもしれませんね。世界の敵とか出てきますし。
最後は、
- 作者: 秋山瑞人,駒都えーじ
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2001/10
- メディア: 文庫
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本書は『猫の地球儀』で一躍、名を挙げた秋山瑞人が駒都えーじと組んで満を持して放った作品です。1巻が刊行されたのは2001年、2005年にアニメ化、2007年に漫画化&DS電撃文庫にも収録……と、実に長いスパンでメディアミックスがなされています。非常に息の長い、今でも読者を獲得し続けていることが分かるシリーズです。
で、どうしてこのシリーズが若いひとにオススメかと言うとセカイ系だから。いえ、セカイ系という言葉自体、ネット発で、定義が不明確ですが、ここでは「主人公とヒロインの小さな関連性が、世界の危機という大きな問題に直結している」という意味で使っています。つまり、作中では浅羽直之と伊里野加奈の恋愛と、世界の危機が等価に描かれているのですが、その関係性はあまり明かされず、読み方によってはリアリティの欠如とすることも出来ます。まあ、そういう訳で年を食ってしまうと、そこらへんの現実的社会的な事情が気になって、物語に没頭できないのではないか? というわけで、若いひとにオススメです。
そうは言っても、
「まだ20代前半のお前に『若いひとにオススメ』って言われても説得力がねーよ」と多方面から叱られてしまいそうです(笑
20代のうちに読んでおいた方がいい作品があったら教えてください。
*1:1巻の書影がなかったので、最終巻のにしました。いえ、すぺしゃるの最新刊にしようかとも思ったのですが、最終巻の表紙が好きなんですよ。