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夏コミ新刊『ゆる本 Vol.12』の紹介

「気負わず、力まず、ゆるく生きるよ」をモットーに、なるべく頑張らずに作っているコピー誌も本号で第12号を数えました。
 雲上回廊が即売会に出展する度に新刊を出し続けていましたが、Vol.12にして初の2分冊です。分量は従来の今までの約2倍ですが、お値段は据え置きの100円。安定のゆるクォリティです。
 早速、紹介に入りましょう。

概要

『ゆる本 Vol.12』
テーマ:作中に初恋の人物を登場させよ
発行:2011年8月13日(夏コミ本)
編集:秋山真琴
印刷:言村律広
表紙:遥彼方
価格:100円
部数:25部

作品紹介

言村律広「てき(す)とーず心配」巻頭はVol.1より続いている「てき(す)とーず」シリーズの最新作です。丸子サーキットを舞台に繰り広げられるのは、車体を燃料にして動く磨滅車によるカーレース。と思いきや、すぐに窓歌と信介が登場し、いつものテンションに逆戻り。シリーズファンは驚愕必至の離れ業にご期待ください。
蒼ノ下雷太郎「初恋のあの人殺人事件」作者が登場し、登場人物たちが登場人物として語りだすメタな殺人事件シリーズの最新作。今回は難解なテーマに執筆を放棄した作者の代わりに、登場人物たちが自ら物語を創作し始めるという奇妙な構造を取っています。相変わらずの自虐ネタが、いつも以上に哀愁を帯びています。
長屋言人「日常性への回帰を指向する関係性に対する考察」思索部シリーズやマジきよで知られる長屋言人さんによる、ほのかに甘酸っぱい恋愛話。大人っぽい、しっとりとした二人の会話は、奇妙に落ち着いていて、けれどどこか新鮮で、現在進行形の初恋を感じさせます。言わば、熟成された青春です。
三里アキラ「まっくらな水」ゆる本における超短編の書き手、三里アキラさんの最新作は、いつもより少し長めの掌編小説。注目すべきは、灰色がかった後ろ向きな始まりから、一気に転がり落ちる後半の奇想。どこか物哀しさを漂わせながら、一途な初恋を感じさせる結末は、そう幻想的です。
伊藤鳥子「松原くんの受難な朝」『絶対移動中』の編集長、伊藤鳥子さんによる掌編。松原晶くんが出会う奇妙な出来事。それは、本人にとって現実離れした、非日常の体験なのだけれど、語り手の不在が演じるのは、初恋の人との距離。あるいは、作中に登場する喋る雀こそが、松原君に恋心を抱いているのでしょうか。
佐藤「三夜一夜自分語り」ゆる本初登場の佐藤さんの作品は、題名通りの自分語り。三編に渡って繰り広げられるのは、作者の熱いフェティシズム。果たして、自分は、佐々木未里さんに恋しているのか、眼鏡に恋してるのか、それとも貧乳になのか。繰り返される自問自答は迷走するようで、熱い信念を感じさせます。
蒼桐大紀「ひめものがたり」ゆる本初登場の蒼桐大紀さんの作品は、車が語り手というファンタジィでありながら、超ど真ん中の初恋話。ゆる本史上最長を誇る長さを感じさせない語り口調は洗練されていて、作者の車に対する深い知識も、読み手を物語に引きつけます。敢えて言うなら、あまりに力作かつ傑作で、ゆる本収録作としては相応しくないということでしょう。
秋山真琴「心配性の、もったいないお化け巻末は編集長にして発行者の秋山による、ゆる短歌五首。いつも通りの、ゆるクォです。

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 夏コミ当日、雲上回廊のブース前で「雲上回廊ブースなう!」とpostしてくださった方に本書を無料で進呈致します。