雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

第12回まんまるレポート

 昨年の3月に開催されたチャリティー会以来なので久々……と言うか、2回目、と言うか、本会には実質1回目の参加です。
 会場に到着したら、リッパーさんやダイビキダさんといった見知った顔がいたので「わはー、相手してくだしあー」と。やっぱり、この手のアウェーな会は、ひとりでも知り合いがいるとぐっと楽になりますね。
 もう少し、まんまるについて。昨年、初めて参加させて頂いた際も子どもが多かったですが、今回も多かったです。5人くらいいたかしら。多分、小学校低学年か、入る前くらいの年齢だと思いますが『カタン』をやっていて驚きました。「麦欲しい! 麦欲しい!」と叫んでいた子が印象的で「うむ、これからも麦が出てくるゲームを、いっぱい遊ぶといいよ」と『ウォルナットグローブ開拓史』を遊びながら思いました。

ウォルナットグローブ開拓史


 ワーカープレイスメント、拡大再生産、タイル配置
 最近のボードゲームに含まれるメカニズムを、これでもかと盛り込んだ意欲作。でありながら、1時間で終了するという収束性の高さ。『アグリコラ』や『祈り、働け』などローゼンベルクのゲームの入門向けとしても紹介されることの多い作品を、初プレイ。ちなみにゲームの紹介は、こちらに詳しいです。

デザイナーはPal LaaneとTouko Tahkokallioというコンビ。Tahkokallioは最近「Eclipse」という大ヒットを飛ばした新進気鋭のデザイナーだ。
1-4人プレイ、45分。「大草原の小さな家」に農場を構え、タイル配置で農場を開拓しながら資源を生産し、生産品をウォルナットグローブで売ったり、労働者を雇用したりと拡大再生産を行う短時間ゲームだ。ゲーム会で遊ばせてもらい、持ち主の方は「うーん、今のところ微妙」と言われたのだが、私としてはかなり気に入ってしまい、自分でも購入した。

http://sites.google.com/site/jun1sboardgames/blog/walnut-grove

 結論としては、面白かったです。
 拡大再生産したければ『レース・フォー・ザ・ギャラクシー』や『サンファン』のように1時間以内で終わるゲームは多いですし、タイル配置なら『カルカソンヌ』等があります。でも、ワーカープレイスメントとなると、最低でも1時間半は掛かってしまうでしょう。まさか、それらすべての要素を含みながら、インストを含めても1時間半も掛からないゲームがあって、しかも、それなりに面白いとは!
 このゲームの最大のポイントは、実はタイル配置ですね。毎ラウンド、食料供給が発生するので、目先の食料問題に追われがちですが、実は、多少、借金を負ってでも、だいたんにタイルを置いていった方が、後々、大きく挽回できそうな感じがしました。全8ラウンドで起きるイベントが分かったので、もう1回、再戦してみたいですね。けっこう木材が重要でした。
 あ、後。テーマが非常に良いですね。黄色いワーカーには麦を食わせ、青いマーカーには魚、白いマーカーには羊。テーマとルールが、きれいに噛み合っています。よい作品です。

ラパヌイ


カルカソンヌ』のデザイナーによる、収穫を得て、神に供物を捧げるカードゲーム。
 箱の大きさも少なく、軽そうな見た目に反し、存外に重かったです。
 ハンドマネジメントしつつ『マンマミーア』する感じかしら。最後はリッパーさんに助けられて、いい戦いが出来ました。2着、だったかな。

オレゴン


 アメリカのオレゴン州を開拓するゲーム……なので、アメゲーかと思いきや、意外に繊細な作りでした。調べてみたらデザイナーはノルウェーの方でした。
 手札4枚の内、2枚をプレイしてボード上に建物を建てたり、コマを置いたりして点数を獲得していきます。中々、自分にだけ得点が入る風に調整するのが難しく、誰かとうまく相乗りしながら進めていくのが重要なポイントになりそうです。
 金鉱を掘りまくって点数を稼ぎましたが、最初から最後まで突っ走り続けたどどさんに追いつけず2着。

ヘックメック


 さたもとさんと『イノベーション』やりたい! と思っていましたが『メディチ』が終わりそうになかったので、軽く虫でも焼くことに。3人プレイ。中盤はいい具合にゲームを運べたのですが、やはり独走すると集中攻撃を食らうことになり、最終的に2着。今日は2着が多いなあ。

It's Mine!


 クニツィアのリアルタイム競りゲー……と言えるのかしら?
 親手番のプレイヤが山札からカードを捲り続け「欲しい!」と思ったプレイヤが、ボードに掌を乗せると、それまでに出ているカードを総取りできるゲーム。5人でプレイ。
 ルールを聞いて「これゲームになるのかよ?」と思っていたのですが、1ラウンドやって戦慄しました。何故なら、10枚以上カードを獲得したはずなのにプラマイ0点だったからです!
 これは恐るべき記憶+計算+反射ゲームだと震えながら2ラウンド目に望みましたが、やっぱり10点くらいしか獲得できず3着。難しいものです。

イノベーション


 はじめさんを誘って3人で『イノベーション』。2回目のプレイ。
 終盤のカードが見たくて「最初の内は点数は無視して、拡大再生産しよう」と思いながら、どんどんカードをメルド。はじめさんが突っ走っているのを横目で見ていたら、さすがに止めないとまずいと思ったのかさたもとさんが止めに入る。でも、秋山は、淡々とメルド……。
 その内「他のプレイヤから得点カードを2枚奪う」という超強力なカードが手に入り、一気に巻き返しに入りました。最後には摩天楼でコンボを決め、勝利カードを5枚集め勝利。やった!

イノベーション 過去のこだま


 拡張カードを入れて、今度は、さたもとさんと2人プレイ。
「拡張のカードおもしろーい」と思いながら、積極的にカードを引いていたら、いつの間にか、さたもとさんが勝利カードを3枚も確保していて、いきなり苦しい展開に。
 そこからは、せっせと得点をかき集めて、中盤で互角に。ただし、予示のルールを忘れていたうえに理解していなく、最初の内に活かすことが出来なかったこともあり、終盤は、手が完全に止まり、涙目に。最後には1手番差で、エコーを4枚揃えることができて勝利
イノベーション』を3人プレイで2回、拡張入りで2人プレイで1回やっての感想ですが、このゲームは「ドライブ感」とも言うべき酩酊感が、他のゲームの比ではありません。恒川光太郎『草祭』に「天化の宿」という短編があります。罪の意識を持った少女が、ある宿に辿りついて、そこで親方と「天化」というカードゲームを遊ぶ話です。「天化」の細かいルールは、ここでは明かされませんが、非常に多様なカードが複雑に連鎖して、ときに世界そのものを演じたりすることがあります。

 ──狩りの目、猪のカードを獲得。猪を合わせて捨てて、作物を得る。雨の日。作物は育つ。雨の目。また雨。降りすぎだ。作物は駄目になる。飢える。あーあ、猪を合わせて捨てるんじゃなかった。飢えなかったのに。
 ──旅人の男。機織女。この二枚で子供たちのカードと交換。繁栄を示す目、豊作の田のカード。ようし。西から風。何かの予兆? わかんないや。今は無視しよう。花を捨てて刀と交換。大きな戦乱。良かった、刀はある。

 作中における一節ですが『イノベーション』も雰囲気としては同じようなゲームです。
 カードをドローして、それがどのような効果をもたらすか今ひとつ分からず、プレイしたり、取り敢えず手元に残しておいたり、或いは伏せたり、もしくは点数にしてしまったり。そうしていった結果、発明が発明を生み、進化が進化を生み、過去の予示が遅れて効果を発揮したり、カード同士が互いに連携し、新たなる効果を生み出したり、生み出さなかったりします。
 この、意図せぬコンボが発生したり、その目くるめく連鎖に翻弄されるとき、とてつもない「面白い!」が生まれます。
 BGGでは2人プレイがいちばん評判が良く、3人プレイはまあまあくらいで、4人プレイは駄作のようですね。4人プレイは未体験ですが、確かに3人プレイの方が派手さはありました。対して2人プレイは、一手の判断が3人プレイの時よりも重いですね。もう少し先を見据えてプレイしないと、いつの間にか袋小路に入っていることがありました。
 うーん、なんか、もっと色々と考えていることがありますが、うまく言葉に出来ませんね。
イノベーション』は近々、日本語版がリリースされるらしいので、それは買ってみようと思っています。ただ、拡張の日本語版が出るのは、そのさらに先でしょうね。第2拡張も出るらしいですね、今から楽しみです。

おわりに

 非常に楽しかったです。
 普段と異なるゲーム会に行くと、普段はプレイする機会のないゲームが遊べるのが良いですね。今後も新しいゲームに触れつつ、『イノベーション』をより深く味わっていきたいです。
 後、ちょっと残念だったのは『七つの島 第2版』が遊べなかったこと。置いてあったので、コンポーネントを見させて頂きましたが「やっぱり買ってもいいなあ」と。でもデッキ構築ゲームばかり持っても仕方がないように思う一方、デッキ構築こそ買ってカードを、じっくり眺めないといけないんですよね。やっぱり買うか!!
……あ、そうそう。恒川光太郎『草祭』は傑作なので、和物ホラーが好きなひともそうでないひとも読むといいですよ!「天化の宿」は良いボドゲ小説ですしね!

草祭 (新潮文庫)

草祭 (新潮文庫)

追記

イノベーション』について、もう少し。
 湯船に浸かっている内に、思いつきました。このゲームは波乗りゲーですね。
 カードの一枚一枚が、低い波だったり高い波だったりして、これらを上手く乗りこなして勝つのが基本なんだけれど、時おり、抗いようのない高い波が来ると、ざっぱーん! となってしまいます。もちろん、この波は人為的にも起こすことが出来て、波乗りに失敗して落ち込んでも、黙々と高い波をドローするまで頑張れば、ざっぱーん! 出来なくもありません。
 より、逆転劇が起こりやすいのは3人プレイですかね。2人プレイは電球を上手く使われると封殺される可能性があって、それをされると挽回が、やや難しいです。