雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

絶対移動中に短編を寄稿しました

 文学フリマで小説作品を頒布しているサークルの中では五本の指に入るであろう同人編集者、伊藤鳥子さんの『絶対移動中 vol.12 リアクション、2回目』に、今回も短編を寄稿させて頂きました。
 11月18日(日)に開催される文学フリマのブース「ア-15」絶対移動中さんにて500円で頒布されます。


『絶対移動中』は毎回、10名前後の方が参加し、テーマに沿った小説や漫画を掲載しているアンソロジィで、今回は前号に引き続き「リアクション」というテーマで特集が組まれました。「リアクション」と言うのは、過去に頒布された同人作品に対する広い観点での「反応」という意味で、リスペクトやオマージュに類される作品を指します。文学というフィールドでは、しばしば過去の作品に倣う作品が発表されますが、ここ数年という時間間隔かつ同人という意味では、極めて珍しいと言えるでしょう。
 秋山が寄稿したのは酒と泪と男と女と部屋とYシャツと愛しさと切なさと秋山真琴」という短編です。タイトルからの連想は難しいですが、実在のバーに行ってウィスキーを飲んで帰るだけの小説です。リアクション元となるのは『絶対移動中 vol.11 リアクション』に掲載された有村行人さんの「マンデリン、または孤独のカフェ」という作品です。こちらは有村さん(と思しき語り手)が、実在の喫茶店を巡り歩きながら、コーヒーを飲んだり、仕事の悩みを吐露したりする小説です。ちなみに掲載用の作品を書き終えた後に、無料配布するペーパー用に「と石の華」「とスモア」という掌編を書いたのですが、諸般の事情でペーパーにではなく本誌に掲載されることとなりました。
 ちなみに過去の作品に対するオマージュという意味では『絶対移動中 vol.7 IT文学』に寄稿した「スカイトスフィア」は、海野十三『地球要塞』に感銘を受けて書いたものとなります。物語の大筋を参考にさせて頂いたのと、素敵なオルガ姫のお名前をお借りしました。『地球要塞』は青空文庫でも読めますので、お手元にお持ちの方は、是非、読み比べてみてください。


 閑話休題
 同人誌の印刷費用が下がったことによって、2000年台の半ばから終わりに掛けて、文学フリマではアンソロジィや同人雑誌が大流行しました。A5版の素敵なパッケージをまとい、有名人のインタビューを掲載したり、将来有望な同人作家の小説を掲載したり──そういった作品が、数多く頒布されました。しかし、言うひとに言わせれば、その環境は玉石混淆で、実際に数年というタームの中で、凄まじい速度で淘汰されていきました。
 2005年に第一号が発行された『絶対移動中』は、今年、vol.12を迎えます。これだけの期間、一定のパフォーマンスと500円という価格を維持しているのは、素晴らしいことです。文学フリマにいらっしゃる方で、新しい何かをお求めの方、どうぞブースまでお越し頂ければ幸いです。