昨夜、仕事を終えてTwitterを見ながら帰宅していたのですが、ボードゲームクラスタにおいて、インストの話が盛り上がっていました。誰かが燃料を投下したのかなあと思いつつ、秋山も疲れた頭から、へりょへりょと無責任な発言をいくつかしましたが(と言うかボケに近い)、今朝、目が覚めたら、まーさんがトゥギャッターでまとめられていました。
今日は、この問題について、ちょいちょい話をしようと思います。
提議された問題の抽出
トゥギャッターのまとめは、まーさんの労作で、多くの方の、多くの話題を網羅しているのですが、それ故に問題が散漫としがちで(これは、どちらかと言うとTwitterという場自体が、そういう性質を持っていますね)、やたら長いし、読んでいて流れを追いにくいです。
そこで、このエントリでは、提議された数多くの問題の中から、以下の2つに対してのみ書いていきます。
【一つ目】ルールを読んでいないゲームをオープン会に持参し、ルールを読みながら遊ぶことの是非。
【二つ目】インストする方へ求めるインストのレベル感の高低。
先に結論だけ書いておくと、これは、誰の視点で、どこまで求めるかが重要なポイントになってきます。オープン会の主催として/インストする側として/インストを受ける側として/ルールを読むところも含めて楽しみたいのか/短時間で多くのゲームを経験したいのか、そういう前提に応じて答えが変わってきます。
このエントリでは、明確な答えを出すことはしません。タイトルにある通り提案をします、させていただきます。秋山の提案を聞いてもいいよ! という方、どうぞ、このまま読み進めてください。
ルールを読みながらインストすることの是非
最初に話題を投下された方の、事前にルールを読んでいない場合は卓立てを遠慮いただくを読んで、最初に思ったのは「うわっ、厳し〜」でした。
バイネームで具体例を挙げちゃいますが、名古屋ミドルロングゲーム会の主催のAFさんは『七王国の玉座』を立てるときに「じゃあ、ルールブックを音読していきますねー」と始められましたし*1、ミスボドにも頻繁にお越しいただいているゐんどさんは、2時間級のゲームがいちばん好きと公言しているのに、めったにルールを読んで来られないし……。
と、なんだかマイナスな書き方をしてしまいましたが、秋山自身は、あまり悪印象を持っていません。
AFさんが、その場でルールを読むのは「インストする人が、事前にルールを読むと、プレイに差が出て不公平だから」という理由ですし、ゐんどさんは卓を立てるときにメンバーの様子を窺ったり、配慮いただいているのが分かるので。
ちょっと、突飛な例から始まりましたが、上記は、どちらかと言うと例外かなあという気がしています。
秋山がミスボドの受付でぼんやり座って見ている限り、散見されるのは「この新作のゲームやってみたいんですが、誰かインストできる方いらっしゃいます?」からの「ええと、それじゃあ、この場でルールを読みながら遊ぼうと思いますけれど、それでもいいよって方はいらっしゃいます?」という問いかけから始まる卓ですね。
特にゲームマーケット直後に見られる光景で、新作ゲームが大量に持ち込まれて、それを遊びたいひとも多いけれど、インストできるひとが限られるという場面において、往々にして発生している事態のように感じています。
結局のところ、卓の成立というのは、合意性です。
「どのゲームを」「どういう条件で遊ぶのか」でしょう。
インストするひとが「ルール未読ですけれど良いですか?」と一言かけて、インストを聞くひとが「良いですよ」と首肯すれば、誰も、なんとも思わないはずです。
ただ、オープン会の主催者としては、もう一歩、踏み込んで、インストするひとが無理やりに卓を立てようとしていないか、ですとか、インストを聞くひとが、条件を確認するチャンスなく巻き込まれてないか、といった事態にも気を配るべき場面にぶつかることがあります。
そもそも、事件が発生しえないように、ルール未読のインストを禁止するも、もちろん、ひとつの手ではあるでしょう。
で、秋山の提案ですが……。
そりゃあ、もう、慣れてもらうことですよ。
・ルール未読でインストするという事態が、一般的にあることで、卓が立てやすい。
・ルール未読でもいいよという方が、自然と卓に入ることができる。
・ルール未読でのインスト卓に入りたくないひとが、さらりと断ることができる。
という環境が作られていれば、主催者視点でも、インストする視点でも、受ける視点でも万事解決……ではないでしょうか?
とは言え、じゃあ、現実的に、そういう空間が形成可能かと言うと方向性は、ふたつでしょうか。
ひとつは参加者数を絞って、その考え方を徹底的に教えこむ、どちらかと言うとクローズな会。
もうひとつは、どんどん新しい風を入れつつ、全体の底上げを図り続けるようなオープンな会。
まだ充分に考えきれていないので、もっと深く考えれば、第3や第4の考えが生まれるかもしれませんね。なにか思いついたらご意見ください。
インストのレベル感の高低
分かりやすさでレベル感の高低と書いてしまいましたが、インストって二次元的なものではないんですよね。
まず、大前提として「ルールを知っていること」と「インストできること」は別物です。学校の授業に置き換えれば分かりやすいですね。授業を受けて、テストで満点を取ったからと言って、生徒に教えられるかと言うと、必ずしも出来るとは限りません。インプットとアウトプットは別物なので。
当然「前にプレイしたことがあります!」という方が、パーフェクトなインストを実践できるかとなると、それも違います。
方向性の問題もありますね。ストーリーから始める方もいれば、ストーリーやテーマはガン無視して、ルールだけを黙々と説明する方もいらっしゃいます。これは、インストする方が、ボードゲームに何を求めているか、この卓で、これからの1時間なり2時間、どのような時間を演出したいかの差だと考えています。
「とりあえず1回、流してみましょう」というインストもありますね。ボードゲームはえてして肉体的なゲームです。学校の授業でもありますよね。理論や仕組みを最初に説明するのではなく「まず、実験してみましょう」といって試験紙を渡して、酸性とアルカリ性を理解させるような。
秋山にとってそういうゲームは『マンマミーア』ですね。幾度となくインストしていますが、あれを言葉の説明だけで初プレイの方に、理解させてあげられたことがありません。結局、1ラウンド回してみて、レシピカードを投入しまくって、圧勝を見せつけ、得点手段を肌で感じて貰わないとインストが完了できない気がしています。
ただ、まあ、これも言ってしまえば、結論は慣れだと思ってます。
正直、初めて『マンマミーア』のインストをしたときは、もうしんどかったですね。
他のゲーム会で遊ばせてもらって「おお、これは面白い!」となったのですが、その「面白い!」という感じを、自分でインストしたときに全然、再現させられないんですよね。ただ、涙目になりながら「とりあえず、1回どうですか?」で回してみた結果、すぐに参加者が勘所を掴んでくれたのはラッキーでした。
多分、あの体験から「ときには口頭で説明するだけではなく、体感させる必要がある」ということを「体感」したのでしょうね。
インストを受ける側もそうですね。
多くのゲームに触れ、メカニクスを知っていけば拙いインストでも通じやすくなりますし、勘所の伝達も容易になります。
一例として「ワーカープレイスメントです」この一言で、知ってるひとなら「ワーカーを増やすことが有利となる可能性がある」「ワーカーに供給する飯が重要と思われる」「スタピーの権利が重要と思われる」等々、多くの想像を勝手にしてくれるので。インストを受ける側が、ゲームに慣れていれば、インストされる方は、けっこう楽できますね。
まとめ
まとめます。
ルールを読んでいないゲームをオープン会に持参し、ルールを読みながら遊ぶことは、環境次第で、良かったりもしますし、悪かったりもします。オープン会の主催者は、この問題に対してどう思っていて、どういう姿勢で臨みたいのかを明らかにしておくと良いなと思います。対してインストする側は、それを少し気にしておくと良いかもしれません。インストを受ける側も含めて、三者がゲーム会という空間自体に慣れていれば、臨機応変に解決も出来るでしょうし、そういう工夫があると良いでしょう。
インストする方へ求めるインストのレベル感に関しても同様です。もちろん、どんなゲームにも応じて多様で練度の高いインストをできるに越したことはありませんが、それはインストする側だけの責任ではなく、される側の受容性も関わってくるものです。
おわりに
今までの流れに関係にないですが、寛容さもひとつのポイントですよね。
あれは駄目、これは駄目と制限していけば、完成度は上がりますが、広がりには欠けるように思います。多少の問題の芽をはらんでいたとしても、秋山は、のんびり自由に、特に制限を課すことなく、のびのびやっていきたいですね。
だいたいそんな感じで。
*1:参考までに、要した時間はインストが2時間弱、プレイが5時間ほどでした。