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映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の感想(ネタバレあり)

 懐かしいですね、桜坂洋『All you need is kill』
 確認してみたら2005年5月に読んでいましたね。とても面白かったことは記憶していますが、展開や内容は、さっぱり覚えておらず、なんか少年兵が激戦区に送り込まれて、ひょんなきっかけからループ体質になってしまい、敵の動きや安全地帯を記憶して戦ったり、斧を振り回し、最後は殺し続けるくらいしか覚えていませんでした。

 桜坂洋は『All you need is kill』を最初に読んで、その後「さいたまチェーンソー少女」「遊星からのカチョーフウゲツ」『スラムオンライン』『桜色ハミングディスタンス』『よくわかる現代魔法』『よくわかる現代魔法〈ガーベージコレクター〉』の順に読みました。読んだのは、2005年から2006年に掛けてなので、最近は、ぜんぜん読んでないですね。
 映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は人気の様子なので、また新作が書けるようになると良いですね。


 映画で、いちばん好きなシーンは、砂糖を3つ入れるシーンです。
 敵の動きをリタに教え込み、戦場を離脱して、足を手に入れるシーンでは、間違いなく最新であるように思えました。何故なら、二種類の選択肢の、どちらが正解であるかケイジが知らなかったからです。
 その後、謎めいた会話を経て、捨てられた家屋に辿り着いて、ヘリの鍵を探しながら、コーヒーを飲むシーンは……辛かったですね。
 だって、それまで観客はケイジと視点を共有し、ケイジと一緒に、このハードでタフなディシプリンへ向かい合っている気分だったのですよ。それが、コーヒーのくだりで、瞬間的に、ケイジは観客が知らない内にループを繰り返しているという事実を突き付けられ、「お前、信頼できない語り手だったのか!」と裏切られた気分です。
 裏切られた気分、そういう意味では、リタ自身がケイジに対して感じたように、観客の立ち位置もまた、ケイジからリタへと、くるりと反転した瞬間だったかもしれないですね。新兵として苦戦しているケイジの視点から、超人的な能力を持ったリタを見る映画ではなく、超人的ではあるけれど、あくまで人間のリタの視点から、ループ能力を持ったケイジを見る映画へと。
 そういった意味で、この映画は、トム・クルーズを見る映画、なのかもしれません。
 原作の記憶が曖昧ですが、主人公と一緒に読者も、世界を取るのかリタを取るのか、きみぼくセカイ系的な悩んだりするのではなく、映画は、あくまで、覚悟完了したかっこいいトム・クルーズを見るものでしたね。


 次に好きなシーンは、リタに、ループしていることを明かさずに、ひとりで戦場を駆け抜けて、ダムまで行くところですね。後は戦車に踏み潰されて死ぬところとか、序盤の、まあ、かんたんにひょいひょい死んでしまうところとかは面白かったです。
 映画的な表現としては、なんと言ってもギタイの気持ち悪さですね。生理的嫌悪感を与える見た目に加え、あの不規則な動きは厄介です。多関節が可能にする、あの想像外な動きによって、歴戦の兵士たちが何人も死んだのだろうなと、容易に想像できますね。原作では、もっとガンパレの幻獣感があったので、斧とかの方が効きそうなイメージがありましたが、あんな風に跳ねたり転がったり絡め取って来たりするのであれば、少し離れて散弾を食らわした方が効率的でしょうね。


 だいたい、そんな感じです。
 素直に面白かった、そう言える映画でした。

All You Need Is Kill (スーパーダッシュ文庫)

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All You Need Is Kill (JUMP j BOOKS)

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