SCRAPによる、東京ドームシティアトラクションズでの、今年のリアル脱出ゲームが発表されました。今年は劇場版ワンピース『ONE PIECE STAMPEDE』とのコラボです!
と言うわけで予習のために原作者の尾田栄一郎が製作に関わった『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』から劇場版を観ようと思ったのですが、ぺこらさんが『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』を観たいというので、2人で観ました。と言うか、観てしまいましたので、ネタバレありで感想をお送りします。
- 発売日: 2013/11/26
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絵は綺麗
これは、観始めてすぐに思いました。
『時をかける少女』や『サマーウォーズ』など初期に近い感じでしょうか。背景のジャングルや青空など自然は、非常に精緻に描き込まれているのに、キャラクタたちは陰のない一色で、なんとなく平坦な印象。
このギャップが活きていると言うか、ルフィだけでなく、ゾロにせよ、サンジにせよ、ナミにせよ、シルエットが美しくて、輪郭だけで分かるなと感じました。
不穏からの不気味
シャフト的と言うか、随所随所で不気味な演出が目を引きました。
整然としすぎていると言うか、自然のなかに人工があって気持ち悪い、みたいな。終盤に出てきたリリー・カーネーションとか、まさしく魔女の造形で「子どもが見たらトラウマになるのでは?」と思いましたが、『まどか☆マギカ』が2011年の作品であることを考えると、これは6年も前なので、順番で考えると『まどか☆マギカ』の魔女こそ『オマツリ男爵と秘密の島』の影響を受けていると言っても過言ではないですね。
ワンピースらしからぬ展開
終盤の展開には驚きました。
仲間を救うためにルフィが気張る、という展開は『ワンピース』でも多々ありましたが、原作において、この関係性は双方向でした。アーロンパーク編におけるナミの「助けて」に代表されると思いますが、ワンピースにおける仲間は、お互いに手を伸ばしあう、言わば握手が基本的な関係性でした。
しかし、この映画において、麦わら海賊団の一味は、あんまりルフィに助けを求めている様子がない……と言うか、いつの間にか敵の手に囚われていて、いつの間にか出番を失ってしまっているので、助けを求める暇さえなかったです。
まあ、百歩譲って、そんな仲間たちを助けるためにルフィが気張るのは良いですよ。いつものことですから。でも、それを支援するのがゲストキャラってあたりが、ちょっと今ひとつですよね。実質、全員を救ったのもお茶の間海賊団のパパですし。
せめて、こう、ルフィのパンチによって、仲間たちの腕とか足とかだけ解放されて、お互いに力を合わせることでラスボスを打破する……みたいな展開が見たかったです。
ありえたかもしれない結末
解放された一味が、ちょっと記憶を失っている風なところで、鳥肌が立ちました。
彼らは、助けを求めていなかったどころか、あのまま消化されて、死んでいてもおかしくなかったのです。そうなったら、取り残されたルフィはどうしていたのでしょうか……?
ネットを見ているうちに、細田監督のインタビュー記事を見つけました。
小黒 『ONE PIECE』ファンにとっては、ちょっと危険な回答を含んだ映画になっているよね。
http://www.style.fm/as/13_special/mini_050815.shtml
細田 そうなのかな。
小黒 だって、今回の映画では、サンジやゾロも結果的に助かって、いつもの冒険に戻るんだけど。みんなが死んじゃっても、ルフィはお茶の間海賊団とか、チョビ髭海賊団と一緒に旅を続けられる可能性を示しちゃってるじゃない。
細田 そうだよね。
小黒 いつまでも昔の仲間にこだわるのもよくない、という事を言ってる映画でもあるわけじゃない。
細田 うん。だってさ、ルフィの目的は、ひとつなぎの財宝を見つけて海賊王になる事であって、今の仲間と冒険する事ではないんだもの。逆に言えば、ひとつなぎの財宝を見つけるために、仲間が必要だと言ってるわけで。そういう人物なんだよね。
おお、言われてみれば! です。
確かにルフィの目的はワンピースであり、海賊王です。
でも!
でもでも!
最後の最後、天秤の片方にワンピースが、もう片方に仲間たちが乗ったとき。ルフィは間違いなく仲間たちを取る。そう信じています。
終わりに
リアル脱出ゲームの予習のために観ようと思いましたが、結果的に見たのは、ワンピースというより、細田監督の闇という気がして釈然としません。『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』が面白いことを祈るばかりです。
念願の『オマツリ男爵と秘密の島』が観れて、私は満足ですよ
え、念願だったの?
『未来のミライ』を観にいったときから、ずっと気になっていて観たいと思っていたの
そうだったんだ。全然、知らなかったよ。どうだった?
私は楽しかったよ。お父さんのところとか
まあ、分かる。感動的だったよね。家族物要素は、細田守っぽいと言えるよね。まあ、でも『ワンピース』である必要はあったのか(ぶつぶつ……
いいんだよ! 後は、あの男爵ね。男爵、嫌いじゃないよ。最後に男爵がさ、昔の仲間たちにちょっと救われる感じじゃない。救いが感じられて、一気に愛着が湧いたよ。結局、嵐の日に仲間を失って、それ以来、ループしてたんでしょ
そうか! 男爵目線では、ループ物だったのか!
ルフィによって、ループが解けたんでしょ。でも、複雑だったと思うよ。仲間を失う辛さは、男爵が、いちばん知ってるわけでしょ。で、失ってしまった仲間たちを、ほんとうに失いきってしまいたくなくて、島にやってきた他の海賊たちを犠牲にしていくんでしょ。でも、その海賊たちにだって仲間はいるわけだし。やっぱ、仲間を失うのは、そうとうなダメージなんだよね。そこから精神を持ち直せるかどうかっていうのが、あの作品の肝なんだと思うよ。チョビ髭は、そういう意味では希望を失わなかったんだよ。ルフィなんて、仲間がちょっと死にそうになっただけでヘロヘロだったじゃない。チョビ髭の方が強いよ
想いが溢れかえってるね。なんか良い映画に思えてきたよ
そうでしょ!!