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高難易度マーダーミステリー『業火館殺人事件』の感想

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 国内にマーダーミステリーを広げるキッカケとして貢献した『約束の場所へ』のMoaideas Game Designさんによる、マーダーミステリー第2弾『業火館殺人事件』を遊びました。
 高難易度ということで、怖気づいている方もいらっしゃるかと思いますが、どんな感じのゲームなのか書いていきます。ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。

ゲームの概要

 プレイヤー人数は6名で固定です。
 プレイ時間は前半が60分、後半が80分。ルール説明やテキストを読む時間、前後の休憩時間なども含めると4~5時間ほどとなります
 秋山が遊んだのは、天岩庵さんGMの初演でしたが、感想戦を含めると5時間半ほど要したように記憶しています。

ストーリーの紹介

紅蓮山(ぐれんざん)には業火館という古寺がある。この辺りは雪牧族(せつぼくぞく)の聖地とされている。

100年以上前、当時は遊牧民族であった雪牧族がここで神秘的な痕跡を発見したという。
仏の思し召しに感銘を受けた雪牧族の人々はここに定住し、この聖なる地を代々守ってきた。
雪牧族の祖先は、仏さまが外部の侵入者から一族を守ってくれることを願い、長い年月をかけて業火館を建てた。
罪深い者がここへ足を踏み入れると、必ず地獄の業火に身を焼かれてしまうといわれている。

2018年6月、雪。

霊峰・紅蓮山はまたしても白色に覆われた。吹雪に遭い窮地に陥った登山者たちが、示し合わせたかのように業火館の扉を叩いた……。

そして、地獄の門は徐々に開かれる。業火の呪い、謎の館主、すべてを治す霊薬、そして人々の中に隠された秘密……。
謎が一つまた一つと浮かび上がるにつれ、身を焼き魂を焦がす死の炎がふたたび燃え上がっていく。

悪業は火の如く災いし、罪人を焼かんと欲す。万般は去かず、唯だ業がその身に随うのみ。

http://www.moaideas.net/mystery/product/gouka/

 と言うわけで、プレイヤは業火館の館主や管理人、あるいは業火館を訪ねた4人の登山者たちのいずれかを担当することになります。
 Moaideasさんのページを見ると、プレイアブルキャラクターの顔写真が公開されていますが、どれも異様と言うか、不気味なものです。志々雄真実よろしく包帯で顔面をぐるぐる巻きにしているキャラから、脳が剥き出しだったり、一つ目だったり……日本では同系統のイラストを見たことがあまりありません。

ゲームの感想

 難易度が高いので、マーダーミステリー体験が2回以上の方にオススメ
 というような記述を、どこかで見ましたが、遊び始めて……と言うか、選んだキャラクターのシナリオブックを読みはじめて、すぐに「なるほど」と感じました。
 さらに、遊び始めると、再び「なるほど」と感じた次第です。


 この比喩が伝わるかどうかは分かりませんが、ボードゲームで言うところの重量級ワーカープレイスメントみたいなものです。
 ワーカープレイスメントというのは、自分の手持ちのコマ(ワーカー)を、盤面上に配置(プレイス)することで、そこに記載されたアクションや効果を得るというメカニクスですが、この手のゲームを遊ぶにあたっては、いくつかコツがあります。
 たとえば、盤面上のアクションスペースは有限かつ早いもの勝ちです。強力なアクションを持つスペースから先に埋まっていくわけですが、ここでポイントになるのは、他のひとの動向です。
 自分にとって魅力的なアクションスペースがあったとしても、そこが他のプレイヤーにとって魅力的でなければ、後回しにしてよいのです。
 このテクニックと言うか、ワーカープレイスメントならでは戦術を知っているかどうかで、仮にそのゲームを遊ぶのが初めてであったとしても、うまい立ち回りができたりします。


 リアル謎解きゲームでも喩えられるかもしれませんね。
 慣れているプレイヤーは「最初は探索して、小謎を解いて、それから大謎でしょ」と、自分が全体の工程のどこにいるのかを注意しつつ遊べますが、慣れていない、もしくは初プレイの方は、ひたすら翻弄されたまま制限時間の60分間が過ぎてしまうかもしれません。


 喩え話が長くなってしまいましたが『業火館殺人事件』は、かなりプレイ時間が長いゲームです。
 前編後編合わせると、推理パートだけで2時間20分もあります。
 今まで、秋山が遊んできたマーダーミステリーは、多くが2時間以内だったので、最長プレイ時間がいきなり20分も更新されました。そして、マーダーミステリーにおける20分というのは実に長く、それだけの時間があれば、さらにいくつかの真相が開示され、さらに多くの議論がされます。
 しかし、逆に言うと、それだけの時間がないと充分な推理や議論が重ねられず、真相に辿り着くことができないということでもあります


 攻略ポイントは、情報の整理、これに尽きます。
 ゲーム中に開示された新情報を、ノート上にまとめるだけでなく、与えられた2時間20分をどう有効活用するのか、頭の使い方まで求められてきます。


 と言うわけで、前置きが長くなりすぎたきらいがありますが……、
 面白かった! です!!
 いやー、とにかく考えるのが好きなんですよ。それも限られた時間に、圧倒的情報量を頭の中にどかっと詰め込んで、それを一気に整理するのが好きなんですよ。
 なので、至福の時間を過ごせました。


 なんなら、マーダーミステリーを遊んだ回数が増えてきて、余裕が生まれてきたからか、全体満足度を上げようとまで考えはじめ、そんな行動まで取ってしまいました。
 具体的には、自分にとって不利なカードをしれっと出したり、自分の目的には関与しないけれど、他プレイヤーの個人目標が達成できるよう手助けしたり……。
 マーダーミステリーは個人対個人のゲームなので、ガチに行くのであれば、厳格さが求められるでしょうが、まあ、みんなで楽しく遊んだ方が楽しいんじゃないかと思うので、こうした次第です

天岩庵さんGMについて

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 天岩庵さんは、限定公演や相席公演など、様々な公演スタイルを提供されていますが、秋山が参加した日は、初日初回公演だったこともあり、限定公演として開催してくださいました。
 具体的には、GMの衣装が超豪華だったり、お香のサービスがついたり……。
 後、天岩庵さんは「参加プレイヤーの満足値を上げたい」という気持ちが非常に前向きで、ゲーム中にけっこう声を出す場面が多かったように感じました。
 没入感が削がれるので、手出し口出しを最小限にすべし派のGMもいるでしょうが、個人的に、天岩庵さんのスタイルは好ましく感じました。
 確かに『業火館殺人事件』という料理を、余計な調味料を振りかけず、素の状態で味わいという気持ちはありますが、これが1回しか食べられない料理であるならば、シェフのオススメ調味料をつけて食べるのも良いものだからです。
 まあ、ここらへんは十人十色な意見があるでしょうから……難易度調整や初心者優遇を受けて最大限に楽しみたい方は天岩庵さん、素の味を楽しみたい方は他の店舗さんで遊ばれるのが良いでしょう

一緒に遊んだぺこらさんの感想

ちょっとアレが多すぎる

いきなりネタバレを踏み込んでいったね

『約束の場所へ』と『業火館殺人事件』の間くらいが、ちょうどいいのでは?

その中間ならば『王府百年』や『純白の悪意』など、いくらでもあるでしょう。『業火館殺人事件』は、難易度を高めにしたという点において、良かったと思うよ

あっきー、ちょっとゴウの声真似してみてよ

よぉこそ、ゴゥカカンへぇ

違うよ! もっと、こう……よぉーこそ、ゴーゥカカンへぇ

なにそれ。魔女感あるよ

あっきーのはイケボ過ぎたよ

もうええわ、ありがとうございました

終わりに

 ちょっと長く書き過ぎたかもしれませんが『業火館殺人事件』の感想でした。
 そろそろマーダーミステリーにも慣れてきて、重量級に挑戦してみたいという方にオススメです