雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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ゲームマーケット大賞の終了に伴い審査員を終えて思うこと

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 ゲームマーケット2019秋のカタログが発売されましたね。既に入手された方は、ご覧になられたかもしれませんが、ゲームマーケット大賞が終了となります
 ゲームマーケット大賞が終了ということは、当然ながら審査に携わっていた審査員も任期満了(?)となります。
 と言うわけで、審査員の末席にいた秋山から、少し思ったことを書いてみます。

そもそものキッカケ

 ちょうど5年前の9月に、審査員になりましたという記事を書いていました。



 ここには書きませんでしたが、元々、ゲームマーケット大賞の審査員は、お断りさせていただく予定でした
 当時、秋山は30歳の誕生日を迎えたばかりで、ボードゲーマーとして過ごした時間は短く、1ファンに過ぎない気持ちでした。草場さんや小野さん、朱鷺田さんと並ぶ立ち位置は、分不相応なんていうレベルではありませんでした。さらに、審査員になってしまい、衆目に晒される重責にも耐えられないと感じました
 ただ、メールで「謹んでお断りさせていただきます」と送るのも失礼かと思い、ちょうどミスボド開催のために名古屋から東京に帰ってきたタイミングだったでしょうか、アークライト本社を訪ね、直接、その旨をお伝えしようとしました。


 早々にお断りして、都内のボードゲームショップを巡ろうと思っていたのですが、実際には1時間ほどの打ち合わせの結果、審査員を受けさせていただくところに着地しました。当初予定とは180度、異なる展開になったのは、自分でも驚きでしたが、ゲームマーケット事務局の方々の熱意に打たれ、このときはやる気に満ちていました。
 受けた理由は、上の記事にも書きましたが、ひとえにボードゲームのムーブメントを盛り上げたいという想いでした

5年間を駆け抜けてみて

 振り返ってみると、適役……かどうかは分かりませんが、そこそこの成果は残せたのではないかと思います。
 人生で最初に買ったボードゲームは『カルカソンヌ』とオインクゲームズさんの『藪の中』なのですが、元々、国産ゲームへの意欲は高めで、海外のレベルの高いゲームも好きだけれど、国産の将来性のあるゲームを応援したいという気持ちは強く持っていました。
 審査員として、毎年数百ものゲームに触れ、その中から特に面白いと感じた、ゲームマーケット来場者に受け入れてもらえる、あるいは楽しんでもらえるゲームを探すことに対し、自分でも驚くほどの熱意がありました


 親にしっかりと敬語を叩き込まれ、会社ではプロジェクトマネジメントやファシリテーションに触れる機会が多かったことも良かったかもしれません。草場さん、小野さん、朱鷺田さん、ふうかさん。諸先輩方ときちんとコミュニケーションしながら、率先して会議の場をセットアップし、自分で議事録を取りながら司会進行することも多かったです。皆様には「こいつ、生意気を言いやがって!」と思われた瞬間も多かったかもしれませんが、笑顔で付き合っていただき、ほんとうに助かりました。
 ゲームの手配、会議スペースの提供等、ゲームマーケット事務局にも感謝の念に堪えません。あの規模のイベントを、実質数名の担当者で回しつつ、審査員の相手をするために時間を割いてくださったことに心から御礼申し上げます。
 また、隠れた功労者と言いますか、縁の下の力持ちとして妻の存在は欠かせません。毎晩「今日は、ここに積んだゲームを遊ぼう」と宣言し、同時に違うゲームを手に取り、ルール解読を終えられた方からインストして遊んでいきました。ルールが読めず、1作も遊べないまま就寝時間を迎える日もありましたが、文句を口にすることなく付き合ってくれました。

ゲームマーケット大賞の終了とゲームマーケット・セレクションの創設について

 カタログにも事務局の見解が記載されていますが、個人的にはやむを得ない結果だなと感じます。
 ゲームマーケット大賞が始まった5年前と比較して、国内におけるボードゲーム市場は大きく成長しました。ゲームマーケット参加者も、出展者も、発表される新作も増加の一途を辿っている中、終了という判断が下ることは想像に難くなかったです。なんとか継続の余地がないか、提案書を作成の上、プレゼンの機会もいただきましたが、ちょっと間に合わなかったかなという印象です。
 残念な結果には至りましたが、自分にできることは最大限にやりきりました。


 ゲームマーケット大賞の終了に伴い、ゲームマーケット・セレクションが創設されますが、こちらは4人の審査員が、審査の結果、大賞を決めるものではなく、来場者及びゲームマーケット事務局が選出した識者による投票によって選ばれる賞となります。
 ゲームマーケット大賞には、デザイナーの励みになること、がコンセプトにありましたが、ゲームマーケット・セレクションに、その考え方がどれだけ活きてくるかは、まだ分かりません。面白いけれど目立たないゲームが、日の目を見ないままに忘れられてしまう可能性は充分にあります。
 しかし、あるいは、国内のボードゲームシーンは、そういう段階に至ったのだという見方もあります。そうであるならば、その段階までのサポートが少しでも出来たことに喜びを覚えます。ゲームマーケット・セレクションが発展し、国内におけるボードゲームシーンがより広がっていくことを願うばかりです

もう少し続くゲームマーケット大賞について

 カタログでは終了だけでなく、二次審査通過作品として、優秀作も発表されました
 終了について事務局の発表を受けたのは、すべての審査を終えた後だったので、審査は他意なく完遂できたと考えています。
 大賞の発表は、ゲームマーケット2019秋の直前が予定されています。当日は、壇上で発表もあるかと思うので、最後の晴れ舞台を見に来ていただければ幸いです。

終わりに

 今までゲームマーケット大賞を注目してくださった方、期待してくださった方、考えてくださった方に、ほんとうに心から感謝します
 来春に開催されるゲームマーケット2020春で、初めてボードゲームに出会う! というこれからの方は、もうゲームマーケット大賞を知らない世代です。そして、その世代は、今後、どんどん増えていくことでしょう。
 何年か経てば、もう誰もゲームマーケット大賞を思い出さなくなるかもしれませんが、それが自然なくらい、ゲームマーケットが盛り上がり、国産のゲームが一般に流通し、誰もが楽しく遊べる時代が来ることを強く望みます。
 5年間、どうも、ありがとうございました