楽しかったですね、エッセンシュピール!
張り切りすぎた結果、帰国してから真っ白に燃え尽きていましたが、少しずつ復活してきたので現地で見聞きしてきたことを少しずつ記事にしていきます。第1弾として、エッセンシュピール2019で人気だったミステリー系及び謎解きや物語要素を含んだり、キャンペーンやレガシーといった内容のゲームをまとめてみます。
- エッセンにおけるミステリーと謎解きの流れ
- 今年のエッセンを総括
- Adventure Games(アドベンチャーゲームズ)
- Decktective(デックティクティブ)
- Sherlock(シャーロック)
- 50 Clues(50のクルー)
- Pocket Detective(ポケット ディテクティブ)
- Murder Mystery Party(マーダーミステリーパーティー)
- KRIMI total(クライムトータル)
- Detective Stories(ディテクティブ ストーリーズ)
- Escape Tales(エスケープ テイルズ)
- Escape From The Asylum(収容所からの脱出)
- Escape Dysturbia(エスケープ ディスタービア)
- Mystery House(ミステリーハウス)
- Undo(アンドゥ)
- EXIT(イグジット)
- Unlock!(アンロック!)
- Deckscape(デックスケープ)
- Detective(ディテクティブ)
- Crime(クライム)
- アンドールの伝説
- パンデミックレガシー
- The King's Dilemma(王のジレンマ)
- 街コロレガシー
- ゲームブック
- CASTLE(キャッスル)
- 終わりに
- 合わせて読みたい
エッセンにおけるミステリーと謎解きの流れ
本題に入る前に、ここ数年の流れをおさらいしましょう。
2012年に『アンドールの伝説』と『マイス&ミスティクス』といったTRPGの流れを汲む、剣と魔法のファンタジー世界を舞台としたキャンペーン系ゲームが発表、前者は翌年にドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞。
2015年に『T.I.M.E.ストーリーズ』というタイムリープを繰り返し事件を解決する、SFが発表、翌々年にドイツ年間エキスパートゲーム大賞にノミネート。同年にはレガシー系の傑作『パンデミック レガシー:シーズン1』もリリースされています。
2016年は、ドイツ市場における謎解き元年だと思っています。この年は『EXIT』や『Escape Room』が発表されました。国内ですと、前者はグループSNEが日本語版を出しており、後者は先だってジーピーが日本語版のリリースを発表しました。
2017年は『EXIT』と『Escape Room』が続々とシリーズ作をリリースしていく中、『Unlock!』と『Deckscape』が発表され現在もシリーズ作が続いています。国内ですと、前者はホビージャパン、後者はゲームストア・バネストが日本語版をリリースしています。また、2017年の注目作としては、現役ミステリー作家がデザインに関わった『セーフハウス』があります。こちらは国内での取り扱いはありませんが、後に続くミステリーブームの先駆けになったのではと個人的には捉えています。
2018年は、今になって考えるとミステリー元年だったのかもしれません。ドイツ年間エキスパートゲーム大賞にノミネートされた『Detective』や、『Crime』シリーズも発表されました。いずれも言語依存の度合いが高く、未だ日本語版がリリースされる気配はありませんが、強く期待する次第です。また、謎解きにおける物語要素を強めた『Escape Tales』の第1弾も2019年発売として告知だけがされていました。
今年のエッセンを総括
個々の作品を取り上げる前に、まずは結論と言うか、まとめを先に書いてしまいます。
まず、2016年に始まった謎解き系の作品は、依然として人気が高く、シリーズ作はどんどん新作が出ていますし、新規参入も多かったです。
2018年に始まったミステリー系の作品も、一気に増えていて、特に謎解き系を手掛けていたパブリッシャーがミステリー系に踏み出してきたという印象です。
また、コスモスが『マーダーミステリーパーティー』をリリースしたのは非常に印象的で、もしかしたら来年はマーダーミステリー系の作品が一気に増えて、振り返ってみると2019年がマーダーミステリー元年だった! となるかもしれないと感じました。
Adventure Games(アドベンチャーゲームズ)
ミステリー系でいちばんの注目作は、なんと言ってもこちらでしょう。
『EXIT』シリーズで知られるコスモス社によるミステリー系新作は、一気に3作投入で、同社の本気度が窺えます。『EXIT』シリーズが、ドイツにおける謎解きゲームの、ひとつのテンプレートになったことを考えると、今後、このシリーズがひな形になりうるのは、想像に難くありません。
中身ですが、このようにキャラクターを操作可能場所へ派遣しつつ、そこに記載されている番号を確認し、テキストブックの対応する箇所を読みつつゲームを進めるという形式と察せられます。
パブリッシャーがコスモスなので、英語版はなく、ドイツ語版オンリーです。買うべきか否か、最後まで悩んだのですが、苦渋の決断で見送りました。と言うのも、テキスト量が死ぬほど多かったからです!『EXIT』ですら、ドイツ語を訳しながら遊ぶと2~3時間ほど掛かるのに、このテキスト量だとクリアまで7~10時間ほど掛かりかねません。
グループSNEさん、よろしくお願いします! お早めの日本語版、期待しています!!
Decktective(デックティクティブ)
こちらは、謎解き系の『Deckscape』の、おそらくは姉妹作として発表されたであろう『Decktective』です。
ドイツの謎解き系の中では『Deckscape』がいちばん好みなので、この『Decktective』も期待大です! 英語版を購入してきたので、プレイしたら内容を紹介するようにします。
『Deckscape』シリーズは、国内ではゲームストア・バネストが日本語版を手掛けているので、こちらもゲームストア・バネストの取り扱いが予想されます。
Sherlock(シャーロック)
こちらは新しい顔触れです。
新シリーズではありますが、既に9作もリリースされており、そのうちの6作はドイツ語化済み、最初期の3作は英語化もされています。秋山は英語版の3作と、ドイツ語版のなかで面白そうだった1作を買ってきました。
某社がパートナーとして挙手済みである様子なので、近々に日本語版の発表が期待されるでしょう。
50 Clues(50のクルー)
こちらも新しい顔触れです。
『50 Clues』というのはおそらくシリーズ名で、その第1弾としてLEOPOLD 3部作が発表されました(いずれも英語版)。秋山はBGG上でこの作品を注目していたら、作者のJeppe Norsker氏からコメントを貰い、エッセンの現地でも挨拶し、購入した3作すべてにサインを貰ったりしました。
Pocket Detective(ポケット ディテクティブ)
ミステリー系の新しい顔触れとしては最後の1作です。
既に2作以上がリリースされている『Sherlock』と『50 Clues』に比べると、単発感は否めませんが、今後、続々とシリーズ化が期待されます。
こちらも購入しましたので、遊びましたらレポートします。
Murder Mystery Party(マーダーミステリーパーティー)
ここからは、マーダーミステリーについて。
まずは、コスモス社がリリースした『マーダーミステリーパーティー』3作。
調べたところ1997年に発売された作品のリメイクである様子ですね。現在、日本で遊ばれているマーダーミステリーは、ほとんどが中国において人狼と悪魔合体し、オープン型と呼ばれるものですが、欧米では元々、ホームパーティーで遊ぶために作られたものでした。
この『マーダーミステリーパーティー』3作は、いずれも料理の名が冠されており、ルールブックには、なんと料理のレシピまで載っています! 自宅で料理を楽しみながら、そこで起こる殺人事件を楽しむ……というクローズ型です。
コスモス社であるため安定のドイツ語版オンリーで購入は見送りましたが、某社か某社が日本語版を手掛ける予定と聞いているので、全力で待機します!
KRIMI total(クライムトータル)
正直、見逃していたと言わざるを得ません。
2004年にドイツで設立されたJMCreative社によるマーダーミステリーです。言われてみれば確かに、昨年も一昨年もエッセンで見ていました。
最後まで購入すべきか悩みましたが、ドイツ語版だったため見送りました(来年から英語版をリリースし始める予定ではあるそうです)。
最新作は、ある吹雪の山荘物とある富豪の死を取り扱ったものですが、既に20作以上リリースしており、会場では過去作も紹介していました。
中身を少し見させてもらいましたが、マーダーミステリーとしては、かなりシンプルな作りで、いわゆるチップやカードの類はなく、各プレイヤに配られるテキストブックが、コンポーネントのほぼ全てとのことです。
プレイ時間は3時間ほどなので、ちゃんとしたマーダーミステリーだとは思いますが、どういうプレイ感なのでしょうか……。数社が購入されていたので、いずれかの会社さんが、日本で遊べるよう調整してくださることを願います。
Detective Stories(ディテクティブ ストーリーズ)
こちらは、写真だけ撮っておいて、後でちゃんと調べようと思ったまま忘れてしまった後悔の残るブースです。
パブリッシャー名はiDventure、2018年に『Case 1 The Fire in Adlerstein』というタイトルでシリーズ第1弾を発表しており、既に3作も出されていました。BGGのカテゴリー欄を見ると「Murder/Mystery」「Party Game」とあるので、マーダーミステリーの可能性があります。
しかし内容説明を見ると、1人から5人用のゲームで、競争型だけでなく、協力型ゲームとしても遊べると記載があるので、もう少しボードゲーム寄りなのかもしれません。詳しい情報をお持ちの方、お教えください!
Escape Tales(エスケープ テイルズ)
昨年、発表だけされていたシリーズは、春に第1弾として『The Awakening』が既に発売されており、今回のシュピールでは第2弾として『Low Memory』が発売されていました。
運良くデザイナーの方と会場でお会いできたので、どういう想いで手掛けられたのか、他社作品との違いなどを少しお聞かせいただき、またサインも貰ってしまいました。
既に某社と日本語版について会話を始めているそうですので、日本語版の発表が楽しみですね。
Escape From The Asylum(収容所からの脱出)
謎解き系の新作ですね。
既に出来上がっている様子でしたが、シュピール会場においてパッケージの販売はしておらず、各国のパブリッシャーとの商談がメインの様子でした。
日本とは既に某社と話を進めており、2020年には日本での発表があるそうです。
ブースには体験エリアもあって、体験版が遊べる環境がありました。
Escape Dysturbia(エスケープ ディスタービア)
homunculus spiel社による『Escape Dysturbia』シリーズです。既に2作、発表されています。
謎解き系と察せられますがドイツ語のみで、英語化は未定とのことで購入は見送りました。
Mystery House(ミステリーハウス)
どれだけ物語要素を含むかは分かりませんが、こちらも取り上げさせてください。
1人から5人で遊べる協力ゲームで、プレイヤはそれぞれが座っている場所から、盤面……と言うか、箱の内側を覗き込みながら、情報を共有して遊ぶというスタイルだそうです。
基本には2種類のシナリオが同梱されており、異なる展開が楽しめるらしいです。
また、箱のなかを覗き込むという観点から、光量が大事になるので、ペンライトも販売されていました。ロゴが入っているとは言え、ただのペンライト4本に10ユーロかあ……となり、購入は見送りましたが……。
Undo(アンドゥ)
写真を撮り忘れたのが悔やまれますが、タイムトラベルを繰り返し、死すべき運命を回避するゲーム『Undo』もミステリー系と言えるかもしれません。
こちらは、既にホビージャパンが日本語版の発表をしており、11月中旬には発売予定とのことで、楽しみですね。
EXIT(イグジット)
長くなってきたので、ここから先は駆け足で。
コスモスの謎解きシリーズ『EXIT』は相変わらず新作が出続けていました。
Unlock!(アンロック!)
『アンロック』も安定ですね。
Deckscape(デックスケープ)
『Deckscape』も新作が出ていました。
Detective(ディテクティブ)
ドイツ年間エキスパートゲーム大賞にノミネートされた『Detective』は展示はされていましたが、新作の展開等は見受けられませんでした。
某社が日本語版を予定していると小耳に挟みましたので期待大です。
Crime(クライム)
昨年に第1弾がリリースされた『Crime』は、順調に拡張が出ている様子でした。
アンドールの伝説
新拡張がお披露目されていました。
パンデミックレガシー
Every end has a beginning...
和訳すると「すべての終わりには、始まりがある」でしょうか。
これは、シーズン3が期待できますね! 胸アツ!!
The King's Dilemma(王のジレンマ)
これはミステリー系ではないのですが、キャンペーンタイプのレガシー系なので、取り上げさせてください。
正体隠匿系の3人~5人用のボードゲームです。各プレイヤはゲームを始めるときに、貴族ボード=ついたてをひとつ選んで、キャンペーン中は、その貴族としてプレイします。ついたてには、鉛筆やペンで系譜を書き込んでいって、プレイする様子です。
大半のカードは封筒に隠されており、どういう展開が待ち受けているのかドキワクですが、いかんせん言語依存度が高く、購入は見送りました。テーマ的には、わりと日本人に受けそうなので、早々に日本語版が出そうではあります。
街コロレガシー
こちらも、レガシー枠として。
大人気『街コロ』のレガシー版、既に日本でも12月に発売が決定していますね。楽しみです。
ゲームブック
ちょっとジャンル違いかもしれませんが、ゲームブックを販売しているブースもありました。
ゲームブックと言っても、いわゆる小説ではなく漫画。コマのひとつひとつが、ゲームブックにおけるパラグラフになっていて、選択によって違うコマに進めという形式でした。
ちょうど通りがかったときに興味を覚えて写真を撮って、ぱらぱらとめくり、後でもう1回、通ったら1冊、購入しようと思っていたのですが、うっかり忘れてしまいました。残念……。
CASTLE(キャッスル)
最後は、多分、TRPGなんですけれど『CASTLE』という作品です。
5分でインストを終えて、1時間で遊べる! みたいなキャッチフレーズを売り子の方に教えていただきました。不気味なお城に迷い込んでしまったパーティが、議論を重ねながら冒険していく……みたいな感じだそうです。
終わりに
と言うわけで、長くなりましたがエッセンシュピール2019で見かけたミステリーや謎解き、物語要素を含むゲームを一挙に紹介させていただきました!
買ったゲームに関しては、日本語版が出る前にどんどん遊んで、どんどんレポートできればと思います。
合わせて読みたい
この記事が面白かった! という方は、ここらへんも興味深く読んでいただけるかと思います。