第92回アカデミー脚色賞の受賞作『ジョジョ・ラビット』を見ました。
見る前は「どうかな?」と思っていましたが、けっこう、しっとりとした作品で、心に染み入るようなエンディングが良くて、好きになりました。
見ようと思ったきっかけ
アカデミー賞ノミネート作を、順々に紹介する番組を見ていたときのことです。
秋山は『ジョーカー』『パラサイト 半地下の家族』『1917 命をかけた伝令』に興味を持ったのですが、ぺこらさんは『ジョジョ・ラビット』に興味を持ったと言っていて、後にひとりで映画館に見に行っていました。
帰宅したぺこらさんが、詳細に内容を説明してくれたので、だいたい内容は知っていましたが「もう1回、見たい」とのことで、せっかくなので見た次第です。
ヒトラーを盲信する序盤について
序盤は比較的、退屈でした。
ローマン・グリフィン・デイヴィス演じる主人公ジョジョにだけ見える、彼の喋り相手であり、友だちであり、精神的な支柱であるタイカ・ワイティティ演じるアドルフ・ヒトラーという存在が面白くはあるのですが、彼を盲信しているジョジョは、いたって真面目であり、あんまりコメディであるとは感じませんでした。
ただ単純に、顔や足に怪我を負ってしまったことをかわいそうに思うと同時に、しかし、そのため軍に入ることを強要されなくなり「結果、良かったのでは?」と感じたりもしました。
父の役目をも担う母が死ぬ中盤について
スカーレット・ヨハンソン演じる、ジョジョの母は、とても良かったですね。『アベンジャーズ』でブラック・ウィドウを演じているのを見ているはずですが、とても同一人物とは思えません。
お気に入りのシーンは、ジョジョが父の不在を嘆く場面。彼女だって、夫を亡くし、辛かろうにと思って見ていたら、暖炉の煤を口元に塗りたくって、いきなり野太い声を出して、父親を演じたときは驚きました。なんという胆力……! 子どもを、心の底から愛する母親の度量の広さを感じました。
その後の、自転車も良かったのですが、それだけのゲシュタポがやってきた後の、彼女の死は、にわかには受け入れられないほどショックでした……。
敗戦とユダヤ人解放に至る終盤について
とにかく友人のヨーキーが生き残ってくれて良かったです。
どんくさちゃんだけど、愛嬌があるけれど、どんくさちゃんだから死にそうと思っていたけれど、しっかりと生き残ってくれて何よりです。
その一方で、サム・ロックウェル演じるクレンツェンドルフ大尉の死は、しんどかったですね。ゲシュタポがやってきたときも、ジョジョが捕まったときも、大尉はどうして何度も助けてくれたのでしょう? 片目を失った彼には、彼の、語られなかった物語があるのでしょう。
そして、エンディング。トーマシン・マッケンジー演じるエルサとのダンスは、しっとりと落ち着いて良かったですね。慌ただしく緊迫した日々が終わり、誰の目を気にすることもなく、ただダンスに興じることができる……果てしなく幸せで平和な一瞬でした。
終わりに
なんとなく映画にはアクションやエキサイティングさ、驚き、興奮、感動を求めてしまいがちですが、こういう、じんわりと「良かったなあ」と言える作品を、もっと見たいですね。
やはり新作ではなく、古典や名作を探すべきでしょうか。オススメがあったら、是非、お教えください。