雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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イマジナリーフレンドはヒトラー『ジョジョ・ラビット』の感想(ネタバレあり)

 第92回アカデミー脚色賞の受賞作『ジョジョ・ラビット』を見ました。
 見る前は「どうかな?」と思っていましたが、けっこう、しっとりとした作品で、心に染み入るようなエンディングが良くて、好きになりました。

ジョジョ・ラビット (字幕版)

ジョジョ・ラビット (字幕版)

  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: Prime Video

見ようと思ったきっかけ

 アカデミー賞ノミネート作を、順々に紹介する番組を見ていたときのことです。
 秋山は『ジョーカー』『パラサイト 半地下の家族』『1917 命をかけた伝令』に興味を持ったのですが、ぺこらさんは『ジョジョ・ラビット』に興味を持ったと言っていて、後にひとりで映画館に見に行っていました。
 帰宅したぺこらさんが、詳細に内容を説明してくれたので、だいたい内容は知っていましたが「もう1回、見たい」とのことで、せっかくなので見た次第です。

ヒトラーを盲信する序盤について

 序盤は比較的、退屈でした。
 ローマン・グリフィン・デイヴィス演じる主人公ジョジョにだけ見える、彼の喋り相手であり、友だちであり、精神的な支柱であるタイカ・ワイティティ演じるアドルフ・ヒトラーという存在が面白くはあるのですが、彼を盲信しているジョジョは、いたって真面目であり、あんまりコメディであるとは感じませんでした。
 ただ単純に、顔や足に怪我を負ってしまったことをかわいそうに思うと同時に、しかし、そのため軍に入ることを強要されなくなり「結果、良かったのでは?」と感じたりもしました。

父の役目をも担う母が死ぬ中盤について

 スカーレット・ヨハンソン演じる、ジョジョの母は、とても良かったですね。『アベンジャーズ』でブラック・ウィドウを演じているのを見ているはずですが、とても同一人物とは思えません。
 お気に入りのシーンは、ジョジョが父の不在を嘆く場面。彼女だって、夫を亡くし、辛かろうにと思って見ていたら、暖炉の煤を口元に塗りたくって、いきなり野太い声を出して、父親を演じたときは驚きました。なんという胆力……! 子どもを、心の底から愛する母親の度量の広さを感じました
 その後の、自転車も良かったのですが、それだけのゲシュタポがやってきた後の、彼女の死は、にわかには受け入れられないほどショックでした……。

敗戦とユダヤ人解放に至る終盤について

 とにかく友人のヨーキーが生き残ってくれて良かったです
 どんくさちゃんだけど、愛嬌があるけれど、どんくさちゃんだから死にそうと思っていたけれど、しっかりと生き残ってくれて何よりです。
 その一方で、サム・ロックウェル演じるクレンツェンドルフ大尉の死は、しんどかったですね。ゲシュタポがやってきたときも、ジョジョが捕まったときも、大尉はどうして何度も助けてくれたのでしょう? 片目を失った彼には、彼の、語られなかった物語があるのでしょう。
 そして、エンディング。トーマシン・マッケンジー演じるエルサとのダンスは、しっとりと落ち着いて良かったですね。慌ただしく緊迫した日々が終わり、誰の目を気にすることもなく、ただダンスに興じることができる……果てしなく幸せで平和な一瞬でした

終わりに

 なんとなく映画にはアクションやエキサイティングさ、驚き、興奮、感動を求めてしまいがちですが、こういう、じんわりと「良かったなあ」と言える作品を、もっと見たいですね。
 やはり新作ではなく、古典や名作を探すべきでしょうか。オススメがあったら、是非、お教えください。