雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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TRPG『ダイアレクト』の感想

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 言語についての、それがどのように死ぬのかについてのゲーム『ダイアレクト(DIALECT)』を遊びました。
 3人から5人用のTRPGです。

ゲームの概要

 プレイヤーは3人~5人、GMは不要。プレイ時間は3~4時間程度。
 判定はないためダイスは不要。プレイヤー全員で協力しあい、言語を作り、世界を作る、ナラティブ要素の強いゲームです
 時代が変遷するたびに、環境と共同体には変化が生じ、最後には共同体は必ず滅び、プレイヤーたちが作り出した言語の使い手も喪失するのが特徴です。
 詳しくは公式サイトをご覧ください。

ゲームの感想

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 学生時代にピジン言語とクレオール言語を研究していたことがあり、言語に対する関心度は、ひとより高い方だと考えています。
 ふとしたきっかけで本作を知り、興味を持ち遊ぶことにしました。
 コロナ禍ということもあり、オンラインでメンバーを募り、ユドナリウムの機能を駆使して遊びました。Zoomを用いて会話しながらだったので、全体で6時間ほどでしょうか。思ったよりプレイ時間が嵩みましたが、期待以上の内容で大いに楽しめました。


 冒頭にて説明した通り、いわゆるTRPG的な判定は存在せず、プレイヤー同士で協力しあい、世界観を創造し、その過程を楽しむというスタイルです
 今までの人生でいくつかのTRPGに触れてきましたが、その中で比較すると『灰色城奇譚』と傾向が近しいなと感じました。



 また、遊んでいるうちに感じたのですが、この作品は『ダイアレクト』というゲームを遊ぶのが目的なのではなく、仲の良いメンバーと共通の思い出作りをするという目的のために、『ダイアレクト』というツールを用いるという手段に近いなと感じました。
 その観点で言えば、プレイヤー同士の仲を深めるためのコミュニケーションツールとしての意味合いが深いロールプレイングポエムの『光より遅く』に近しいなと感じました。



 遊び始める前は、遊び終えたら詳細にレポートを書こうと思っていたのですが、実際に遊び終えた今、書き残しておきたい気持ちと言及したくない気持ちがないまぜになり、ふしぎな感覚です。
 選んだバックドロップは「充電された地球を歌う」です。
 舞台は遠未来。人類は既に地球を去り、この星で動いているのは機械だけというシチュエーション。
 協議の結果、星は砂漠化しており、我々ロボットは、いつか人類が帰ってくる日のために、せっせと植樹しているという設定になった。その後、4人で日々の暮らしについて語ったり、人類や星の真実について設定を作りだしたり、天から降ってきたものに対して考察を繰り広げたりした。
 そして。
 滅亡した。
 その経緯については、あのユドナリウムと、あの時間を共有した4人だけのもので、ここに書いて公開するのは、あまりよろしくないのでは? という気持ちが捨てきれない。また、私自身、3週間にもわたって付き合ってきた世界と、あの星に暮らしていた機械たちに馴染みを抱いてしまい、ちょっとした喪失感に面食らっている。
 なので、書いておくのは、この程度にしておきます。

終わりに

 ゲームから与えられる何かを享受したいプレイヤーに、本作は不向きだと感じました。
 逆に想像力が豊かで、感受性が豊かで、他人と一緒に世界観を作りだしたり、その世界に浸るのが好きなひとには、とても向いています。もし、あなたがその向いているひとならば、是非、遊んでみてください。楽しんでください。