クリストファー・ノーラン監督によるSF映画『インターステラー』を見ました。
好み一直線な映画だったので感想を書きます。ネタバレありです。
映画の感想
とても良かったです。
なにがってハッピーエンドであることですね。
だって展開的には、どうあがいたってバッドエンドじゃないですか。
マーフィーの部屋に現れる幽霊や、土星の近くにワームホールを設置した"彼ら"は、主人公たち自身なのではないか? という推測は早々に立ちますが、それが真であるならば、主人公たちは高次元の存在になってしまい、もはや人類の手が届かないほど遠くに去ってしまったことと同義であるので、別れは確定的です。
日本のサブカルの文脈に沿って解釈すると、世界を救うか、娘との生活を突きつけられた主人公が、世界を救うことを決断し(実際には、世界はゆるやかに破滅の道を辿っているので、世界を救わなければ、娘とのおだやかな生活も脅かされる)たセカイ系であり、世界を救うことを決断した主人公に、娘との元通りの生活は待っていないはずです。
まさしく決死の旅路。
ラザロ計画に殉じた彼らは、人類の行く末を切り開いたが、彼ら自身は尊い犠牲になってしまった。という結末は避けられません。
だからこそ、マシュー・マコノヒー演じるクーパーが、スペースコロニーで目覚めたときは衝撃でしたし、老いたとは言え存命の娘マーフィーと再会できた奇跡には涙を禁じえません。
さらに、アン・ハサウェイ演じるアメリア・ブランドが辿り着いたエドマンズの惑星は、人類が生活できる環境となっており、約束されたふたりの再会は奇跡の追い打ちとしか言えません。
SFの夢とロマンを繰り広げつつ、ご都合主義的ではありますが、ハッピーエンド至上主義者を、これ以上はないくらいに満足させるこの結末には感謝しかありません。
この結末があるからこそ、マット・デイモン演じるマン博士の裏切りも許せるように感じます。
もう、ほんとうに彼には怒りしか感じませんでした。
その人間的な弱さ、脆さ、ズルさには共感を覚えつつも、あまりにも足りない覚悟……。
ですが、彼の自分本位な計画がなければ、この結末には至れなかったことを考えると、これも必要なピースだったのだと納得できます。また、彼のフルネームがヒュー・マン、まさしく人類を示唆していることを考えると、含蓄があります。
後は、人工知能ロボットのTARSですね。
モノリスを思わせる直方体に、最初は違和感を覚えましたが、ミラー飛行士の水の惑星において、アメリアを救ったシーンで一気に好きになり、以降は、ずっと愛着を覚えました。
4次元超立方体で再会できたときは感動でしたし、コロニーで修理され、再起動を果たしたときはガッツポーズでした。
終わりに
エンデュランス号のなかで、アメリアがアイの力を説いたときは失望しましたが、まさしく愛の力によってハッピーエンドに至ったのは劇的ですし、感動的です。
ちょっとご都合主義に過ぎるかもしれませんが、こういうのは大好きです。ありがとうございました。