Raw Furyによる推理ADV『Backbone(バックボーン)』を遊びました。
途中からネタバレありなので、気になる方は回れ右推奨です。
ゲームの概要
主人公はアライグマの私立探偵。
ある日、カワウソの依頼人から夫の動向を探ってほしいと依頼を受けます。
雨が降る中、アライグマはダウンタウンに足を伸ばし、男の足跡を追いかけます。
ゲームの感想
スクリーンショットを見た瞬間に気に入りました。
精巧に書き込まれたドット絵に、擬人化された動物たち、そしてハードボイルドなノワール世界を描いた陰鬱な雰囲気。
遊びはじめて、さらに気に入りました。
スクリーンショット以上に画面が美しかったのです。特に雨の表現が白眉で、画面に水滴がついて滲んで見えなくなるのが面白いです。
ゲームはおおむね会話によって進むのですが、ほぼすべての応答を選択することができるのです。通常、この手のアドベンチャーゲームは、話し相手が一方的に話し、こちらは「アリバイについて聞く」だとか「凶器について聞く」といった、会話のテーマを選択することしかできません。
しかし、本作の場合、相手の挨拶ひとつに対して、
・本名を名乗り、正直に挨拶する。
・偽名を名乗り、挨拶する。
・ぶっきらぼうに本題に入る。
・無視する。
と4種類もの選択肢が与えられ、以降の会話に対しても、すべて選択肢があるのです。ここまで作り込まれたものは、あまり見る機会がなかったので、非常に新鮮でした。
ネタバレなしの感想は、この程度にしておいて、ここから先はネタバレありの感想とします。
ゲームの感想(ネタバレあり)の前に
まず、多くの方が詰まるであろう4桁のパスワード。
このゲームの真髄は後半にあって、最序盤の謎解きで躓いてしまい、遊ぶのを中断するのは、もったいない以外の何物でもありません。
攻略を求めて、このブログにまで辿り着いた方が知りたいのは、ヒントなどではなく、答えそのものでしょうから、ここに書いておきます。
答えは「0451」です。
どうぞ、物語の続きをお楽しみください。
ゲームの感想(ネタバレあり)
面白いは面白かったのですが、これは、かなりプレイヤーを選びますね。
わたしはハッピーエンド至上主義者で、ゲーム終了時にすべての謎が解き明かされるのを好みますが、本作に用意されたエンディングは、ハッピーエンドとは言い難いですし、かなりの部分が余白として残されており、プレイヤーの想像に委ねられています。
興味深いのは研究所に残された人間の頭蓋骨でしょうか。
単に、動物たちが擬人化された世界が舞台だと考えて遊びはじめましたが、もしかしたら人類が滅び、地球上に残された動物が進化した世界の果てが、本作なのかもしれません。
そう考えると、背骨もしくは背景という意味を持つ『Backbone』というタイトルは、いかにも意味深です。
アライグマのハワードは残念な結末を迎えることになりましたが、この世界の行く末は興味深いので『Backbone2』がリリースされることを願うばかりです。
終わりに
クリアに要した時間は4時間半。
ディストピア系のSF小説を楽しむような感覚で遊ぶことができました。終末世界、ノワール、ディストピア、こういったキーワードにピンと来る方にオススメです。