最初にこのエントリの主旨。
id:m_tamasakaさんへ質問です。電撃hp、ザ・スニ、ドラマガといった雑誌は何が目的で作られているのでしょうか?
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少し前ですが、id:iris6462さんがライトノベル雑誌について「毒を吐く」という表現で、ライトノベル雑誌について意見を述べられました*1。
以前は電撃hpとザ・スニーカーを購読していたのですが、数年前から新刊を追うのに手一杯となり、またとある理由からスルーするようになりました。したがって、現状のライトノベル雑誌はよく分からないですが、おそらくずっと追っていたであろうiris6462さんの視点は興味深く、なるほどと納得できるところもありました。
その後、iris6462さんに反応して、id:torlisgarli3723さんおよびid:m_tamasakaさんがエントリを上げられて、これも興味深く読みました。で、作り手側の意見や実際のところを受けて、ユーザがまたボールを返して、これを繰り返して「よさげなライトノベル雑誌像」が見えたとして、しかもこれを『電撃文庫MAGAZINE(仮)』の編集長が偶然に見たりして、ユーザの意見や要望が反映された雑誌作りをしたら面白いかも、買ってみようかなと思っていました。ところが話はそこまで行かず、途中で終わってしまいました。
これが、ちょっと勿体ないなあと思います。せっかく今のはてなにはm_tamasakaさんがいて、作り手側に話が聞いてもらえる&話が聞けるのにそうしないのは勿体ないなあと思います。
なので、iris6462さんを引き継ぐわけではないですが、こんな雑誌になればいいのにというのを考えてみました。
hpやザ・スニの購読を止めた「とある理由」
の前に、どうしてそもそも雑誌を買うのを止めたのかという話。
ザ・スニは1年ぐらいしか追っていなかったので電撃hpの話をしますけれど、元々、秋山が電撃hpを買い始めたのは川上稔が「創雅都市S.F.」という『電撃hp』でしか読むことのできない作品を連載していたからです。直接の原因は好きな作家だったのですが、買い続けた理由は、魅力的な連載の他に、新人作家のデビュー作が読めたから、というのがあります。また時雨沢恵一『キノの旅』などは、文庫化されて話題になる前に電撃hpで読んでいて「みんなが騒ぎ始める前から、自分は読んでいた」という、いかにも中高生っぽい優越感を覚えていました*2。
けれど、購読を続けているうちに掲載作をぜんぶ読めなくなってきたというのもありますが、掲載作がどんどん文庫化されていくことに気がつきました。期間はよく覚えていませんが、別に電撃hpを買わなくとも、半年ほど待てば文庫で手に入ることに気がついたのです*3。で「ああ、このスピードで文庫になるんだったら雑誌は買わなくてもいいなあ」と思いました。
ライトノベル雑誌と文芸誌や中間小説誌の違い
と言うか、これはライトノベルとエンターテイメントの違いなのですが、ライトノベルって刊行スピードが速いですよね。
たとえばエンターテイメントでは、年に1冊出て多いなと感じる作家がいたり、次の本は出ないかもしれない作家がいるのですが、そういうひとが参加している雑誌はついつい買ってしまいます、希少価値があるので。これに対し、ライトノベルは基本的にちゃんと文庫になりますし、他のレーベルに移るということが滅多にないので追いかけるほど愛着が持ちにくいです、つまり希少価値が低い。
ここから思考を発展し、遅筆な作家に連載の場を与えればいいのではないか? と思い至りました。そうすればその遅筆さゆえに、なかなか文庫は発売されないけれども、雑誌を追っていればコンスタントに読むことができます。これで、雑誌としての魅力度が増すように思います。
と、ここで疑問発生です。雑誌としての魅力ってなんでしょうか? と言うか、そもそも現状のライトノベル雑誌にはその魅力がないのでしょうか? 部数を調べてみました。
ライトノベル雑誌は何を目的としているのか?
日本雑誌協会の調べによるとドラゴンマガジンは53500部、ザ・スニーカーは23000部も出ているようです。
ザ・スニは理解できなくもないですが、ドラマガの部数は異常ですよね? だってあの野性時代(50000部)より多いですよ。
この驚きの結果を目にし、ドラマガに対し「よぼよぼで倒れる寸前に見える」と言っていたiris6462さんの見解は、実はまるっきり違っていたのではないかと思いました。と同時に、iris6462さんとm_tamasakaさんの見ているせかいは、実はすごい勢いで食い違っているのではないかとも思いました*4。
つまり、ライトノベル雑誌の在り方と言うか、それが何のために作られているのか、という前提を取り違えているのではないか。
と言うわけで1行目に戻ります。ライトノベル雑誌は何が目的で作られているのでしょうか?*5
これが分かったら、もっと建設的な議論が出来そうですよね。DISるにしてもまずは対象を正確に認識していないと、と思います。