
- 作者: 古川日出男
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/04/22
- メディア: 単行本
- 購入: 7人 クリック: 190回
- この商品を含むブログ (382件) を見る
読むのが僅かに遅かったなと悔いた。二度、その読みにくさから投げてしまっていたのだが、あのときに最後まで読んでいたら必ずや2005年のトップテンに入れていただろうと思う。また、この文体は何処となく舞城王太郎のそれと似ているように思う。あるいは今、舞城をもう一度、手に取ったら面白く読めるかもしれない。古川を経ることで、舞城を面白く読めるステージに進めたかもしれない。
読了後、どうしてこの作品がこのミステリーがすごい! に含まれているのかと少しだけ思い悩んだ。つまり、ベルカの血統にまつわる部分がミステリなのだろうか。あの四頭のうちいずれかを祖に持つイヌ、或いはあの四頭とは全く関係のないイヌ、もしくは四頭全てを祖に持つイヌ。もしかしたら、そういったところをミステリだと考えた人がいたのかもしれない。が、秋山は、そこは看過すべきポイントだと思う。イヌは家系図を持たず、イヌの祖を気にするのは人間だけだということ。文学として楽しんだ。