- 作者: ひびき遊,巳島ヒロシ
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/07
- メディア: 文庫
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これは中々、面白かった。地界と呼ばれる地底を舞台とした物語で、主人公はひょんなことからその世界に迷い込んでしまった少女。地上人の処女は、自らの血液を魔銃に垂らすことで物言う武器を目覚めさせることができ、地界で暮らしている元地上人の何割かは、鎖乙女という首輪から魔銃をぶらさげる魔銃の管理者になるという。物語は主人公が鎖乙女となって、相棒となる魔銃使いと出会うところから始まる。けれども、この魔銃使いがまた変わっていて、極度の臆病者なのだ。生を望む「渇望」の力をエネルギーに変えて発射することのできる魔銃、その使い手として彼は一流だけれど、あまりに気弱のため戦前逃亡を繰り返してしまうのだ。
上手くできているなと思ったのは、設定が上手く絡まりあっていること。魔銃の起動には鎖乙女が必要で、魔銃の発射には渇望している魔銃使いが必要という、魔銃を中心に据えた関係が、良質のボーイ・ミーツ・ガールを形成しているように思う。ただ、抜きん出ている箇所がなく、ウェルメイドに落ち着いてしまっているので、ライトノベルに新しいものを求めている人には不向き。