雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

977『銃とチョコレート』

銃とチョコレート (ミステリーランド)

銃とチョコレート (ミステリーランド)

 乙一の久々の新作にして、ミステリーランド作品の中で最高傑作と名高い作品。期待に胸を膨らませて読んだのだが、期待値が高すぎたのだろうか、あまり面白くはなかった。
 ミステリーランドの作品は、推理物と冒険物とに大別できると思うが、本書は後者。霧と煙の街で暮らす主人公は、基本的に追従型で名探偵明智小五郎に付き従う小林少年のように走り回る。乙一作品の殆どにある卑屈さや自嘲さは少なく、読者を驚かせてやろうという展開を作者はより重んじているように見える。非常に好印象。
 法月綸太郎『怪盗グリフィン、絶体絶命』の主人公が子ども版と言えば分かりやすいかもしれない。ただ、本書では裏切りや悪意、人間の本性といったものが、断片的にではあるが、効果的に描かれている。まあ、面白かった。