雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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885『アイルランドの薔薇』

アイルランドの薔薇 (光文社文庫)

アイルランドの薔薇 (光文社文庫)

 石持浅海という作家について秋山が持っているイメージは、『月の扉』でミステリファンにその名を知られ、『扉は閉ざされたまま』で一躍、有名になったという感じだ。本書は彼の初期の作品で、アイルランドのとあるB&B(いわゆる庶民向けホテル。ベッドと朝食だけを提供する)が舞台で、登場人物は全員カタカナ名で、やや社会派であるという評を聞いて、どうも手が伸びなかった。しかし、ミステリ読みとしてやはり読んでおかなければならないだろうという、謎めいた強迫観念に晒され読んでみたのだが、――面白かった!
 確かに登場人物の名前はカタカナで覚えにくく辛かった。北アイルランドと南アイルランドの政治的要素が絡んできて、理解しにくい部分もある。がしかし! この舞台設定と人間ドラマは秀逸過ぎだろう! 悲しいかな、背景が込み入っていて、それを説明できるほど秋山は理解できなかった。したがってこの場では、とにかく面白いのだと連呼することしかできないのが悔やまれる。面白かった面白かった面白かった、ふう。
 これで石持作品はデビュー作の『暗い箱の中で』を除いて全部読んだことになる。長編だけで順位をつけるならば『水の迷宮』→『アイルランドの薔薇』→『月の扉』→『扉は閉ざされたまま』→『BG、あるいは死せるカイニス』→『セリヌンティウスの舟』かな。

2月の読了

  1. 片山憲太郎『紅』
  2. 石持浅海セリヌンティウスの舟』
  3. 太田忠司『予告探偵』
  4. 倉知淳『ほうかご探偵隊』
  5. 恩田陸『光の帝国』
  6. 恩田陸『蒲公英草紙』
  7. 石持浅海『BG、あるいは死せるカイニス』
  8. 安野モヨコ『監督不行届』
  9. 森谷明子『れんげ野原のまんなかで』
  10. 加藤実秋『インディゴの夜
  11. 日日日蟲と眼球と殺菌消毒』
  12. 桜坂洋よくわかる現代魔法
  13. 桜坂洋よくわかる現代魔法 ガーベージコレクター』
  14. 柄刀一『fの魔弾』
  15. 飛鳥部勝則『誰のための綾織』
  16. 北野勇作『空獏』
  17. 戸梶圭太『ご近所探偵TOMOE』
  18. 佐々木俊介『模像殺人事件』
  19. 清水マリコ『あなたに胸いっぱい』
  20. ほしおさなえ『天の前庭』
  21. STUDIO VOICE 03月号』
  22. 松尾由美『雨恋』
  23. フレデリック・クレマン『アリスの不思議なお店』
  24. 山名沢湖レモネードBOOKS 1』
  25. よしながふみ『愛がなくても喰ってゆけます。』
  26. 蘇部健一『六とん2』
  27. 藤岡真ギブソン
  28. 獅子宮敏彦『砂楼に登りし者たち』
  29. 連城三紀彦『戻り川心中』
  30. 田中芳樹『ラインの虜囚』
  31. 鳥飼否宇『痙攣的』
  32. 森野一角『お仕えします!』
  33. 鳥飼否宇『逆説探偵』
  34. 高殿円銃姫1』
  35. 高殿円銃姫2』
  36. 浅井ラボされど罪人は竜と踊る
  37. 浅井ラボされど罪人は竜と踊る2』
  38. 浅井ラボされど罪人は竜と踊る3』
  39. 浅井ラボされど罪人は竜と踊る4』
  40. 浅井ラボされど罪人は竜と踊る5』
  41. 浅井ラボされど罪人は竜と踊る6』
  42. 浅井ラボされど罪人は竜と踊る7』
  43. 高殿円銃姫3』
  44. 支倉凍砂狼と香辛料
  45. 三田誠『アガルタ・フィエスタ!』
  46. 住本優『最後の夏に見上げた空は』
  47. 倉知淳『猫丸先輩の空論』
  48. 七飯宏隆『座敷童にできるコト』
  49. 友桐夏春待ちの姫君たち
  50. 綾守竜樹『座敷童の掟』
  51. よしながふみ『大奥1』
  52. 小川一水『疾走!千マイル急行 上』
  53. 小川一水『疾走!千マイル急行 下』
  54. 大森望三村美衣ライトノベル☆めった斬り!』
  55. ヒロユキ『ドージンワーク 1』
  56. 長森浩平『タイピングハイ!』
  57. このライトノベルがすごい!2006』
  58. 高田崇史『パズル自由自在』
  59. 荒井チェリー三者三葉 1』
  60. 高津カリノWORKING!! 1』
  61. 道尾秀介『向日葵の咲かない夏』
  62. かたやま和華『楓の剣!』
  63. 真嶋磨言『憂鬱アンドロイド』
  64. 小林めぐみ食卓にビールを3』
  65. 小林めぐみ食卓にビールを4』
  66. 長谷川昌史ひかりのまち
  67. 西野かつみかのこん
  68. 石持浅海アイルランドの薔薇』

 今月はミステリ既読調査で好成績を残そうと昨年のミステリを多く読んだ。これによってミステリフロンティアの既読率が上がったのも嬉しいところだ。また、後半からはここ二年ほど離れていたライトノベルに戻ろうと、ライトノベルが多めになっている。
 ミステリでは『戻り川心中』『向日葵の咲かない夏』、ライトノベルでは『憂鬱アンドロイド』『紅』『狼と香辛料』、ジュブナイルポルノでは『座敷童の掟』、漫画では『大奥』が記憶に強く残っている。