雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

779

Under the Rose (1) 冬の物語    バースコミックスデラックス

Under the Rose (1) 冬の物語 バースコミックスデラックス

 何なのだ、この不信感は。立ち込める精神の暗雲と、偽りの木漏れ日は。
――落ち着こう。自分自身にそう言い聞かせなければならないほどに、精神を喰らう暗鬱を読んでしまった。この作品を説明するのは難しい。ある貴族の妾が死に、その息子とされている主人公が貴族の館に住むところから幕が上がるのだが、彼は一族に敵愾心を剥きだしにして、母親の死を真相を探る。ミステリ仕立ての冒険小説と言えるだろう。しかし、本書の見所はそんなところではなく、明かされてゆく真実と至る結末がどれもこれも気分が滅入るような代物で、そこに辿りつくまでの冒険も剣呑したものばかりだということだ。一巻を読み終えたところで表紙を見て、思わず溜息をついてしまった。報われない。