- 作者: 小路幸也
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/04/25
- メディア: 単行本
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著者の小路幸也にはお会いしたことがあるのに、デビュー作の『空を見上げる古い歌を口ずさむ』しか読んでおらず、次にお会いできる機会に恵まれたときのために読んでおこうと手に取った。とても面白かった。心なしミステリ・フロンティアに多い気がする「ふたつの事件を平行して描き、最後に交錯する」という構造を用いているのだが、それはあまり成功していない。そもそも、事件の片方があまり面白くなく、謎も魅力的でないのでリーダビリティに欠けている。しかし、本書の主眼はあくまで、感動的なところと若い人向けに書かれているものだと思う。感動的であることはさておき、もっと若い読者に読んでもらいたいと思った。だって、作中に登場するある能力は、『ジョジョの奇妙な冒険』における使い勝手の悪いスタンドにしか思えないからだ。終盤、この能力が真価を発揮する場面は熱すぎる。ハーートビーーーート!!*1
読了後に表紙を見返して、そこに注意して見ないと気づかないような書き込みを見つけてしまい、また涙がこぼれてしまった。
*1:こんな科白はない。