896『ガラス遊戯』

ガラス遊戯 風の守り歌 (講談社X文庫 ホワイトハート)

　ボーイズ版リリカル・ミステリー。
　主人公が俺様なのだが、実に自意識過剰な上に自己中で、しかも自身を制御できていない。これはちょっと格好よくないタイプの俺様だよなあ、女の子の中にはこういうのが好きな子もいるのかな、などと思いながらページを進めた。一行目でボーイズと言ったけれど露骨にBLを意識させる場面はなく、むしろ主人公とその良き相棒という関係性かもしれない。中盤以降、主人公は同級生の女の子と主に行動を共にするし、BLとは言えないのかもしれない。そこはよく分からない。
　描写がややくどいわりに、ストーリィはシンプルであまり面白いとは言いがたい。けれど、最初から最後までテンポは維持しているので、講談社ホワイトハート文庫という領域においては新鋭と呼ぶに相応しい新人なのかもしれない。