雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

文芸誌はどうして売れないのか売れた方がいいのか?

文芸誌は短篇競作を良くやるけれど、効果は微妙でラインナップも渾沌である*2。また、こっちは特に連載の為に買うお客さんが少ないし、もっとはっきり言うならそもそも文芸誌を買うお客さんが非常に限られている。図書館に行けばいくらでもバックナンバーが読めるし。
要するに、今文芸誌やコミック誌の実売が振るわない理由の一つは、雑志を単行本化の為の原稿を獲得する手段にし過ぎている事にあるんじゃないだろうか。確かに文芸誌に毎号一〇〇〇枚書き下ろされている事は重要だし、掲載料は書き手にとって有り難いかも知れない。一定のペースで書くことも要求されるし、そりゃあメリットもある。けれど、結果として、特定の連載の続きを読みたい少数のコアな読者以外が手に取る機会を減らしているようにも思える。
http://d.hatena.ne.jp/kenkaian/20070625/1182844711

 うえのエントリではデータが示されていないので、文芸誌がどれぐらい売れていないか、以下に載せます。日本雑誌協会の調べでは、

雑誌名 出版社名 発行部数
文學界 文藝春秋 12,000部
新潮 新潮社 11,117部
群像 講談社 8,000部
すばる 集英社 8,000部

 となっています。注意が必要なのは、これは発行部数であって実売部数ではないということです。実際の購読者はもっと少ないでしょう。以前、大塚英志が冗談か本気か分からないですが「文芸誌の読者は300人ぐらい」と言っていたぐらいです。ちなみにあらゆる雑誌のなかでいちばん売れているであろうと思われる週刊少年ジャンプは2,839,792部。文字通り、桁が違います。
 ついでに代表的と思われる中間小説誌の部数も、いくつか挙げておきます。

雑誌名 出版社名 発行部数
オール讀物 文藝春秋 78,167部
野性時代 角川書店 50,000部
小説現代 講談社 31,917部
小説新潮 新潮社 30,767部
小説宝石 光文社 21,867部
小説すばる 集英社 20,667部
文藝 河出書房新社 15,000部
別册文藝春秋 文藝春秋 12,000部

 こうして比較してみると、明らかに文芸誌の発行部数は少ないことが分かります。
 とは言え、ここでひとつ疑問が。文芸誌って売れる必要あるのでしょうか? 別に雑誌が売れなくとも、単行本が売れれば作家はやっていけるでしょうし。そもそも『群像』なんて完売赤字なわけですから、売れたら売れたで嬉しいでしょうが、無理に、売りに走らなくてもという気はします。
 しかし、文芸誌には文芸誌独自の面白味がありますよねー。
 連載の続きや、好きな作家の最新作、新人のデビュー作などが単行本化される前に読めるというのは、どの雑誌にも言えることですが。文芸誌に掲載された作品の文壇的評価や、芥川賞候補作が読めるのは、基本的に文芸誌だけですよね。単なる娯楽を越えた楽しみが文芸誌にはあると思います。
 そう言うわけで、そろそろ芥川賞(と直木賞)の時期ですね! 候補作の発表が楽しみで仕方ありません。