雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

届かぬ想い

届かぬ想い (講談社ノベルス)

届かぬ想い (講談社ノベルス)

 最愛の娘は誘拐されたまま戻ってこず、最愛の妻もまた娘を失ったことに絶望してか自ら命を絶ってしまう。「ぼくは、きみとこれから生まれてくる子供を命を懸けて守る」というプロポーズの言葉が、残された小早川嗣利を縛りつける。届かぬ想いを届けるために、彼が取った最後の手段とは、時を駆ける機械、タイムマシン。そして彼の前に立ちふさがるは、タイムパラドックスという壁。
 羽住都による表紙イラストと、届かぬ想いというタイトルから、感動系の話を想像していた。てっきり映画の『タイムマシン』のように何度も過去に舞い戻って、娘と妻を救おうとする話なのかと思いきや、そういった派手な場面は少なく、堅実にそして地味に進んだ。それで恋愛物に終始するのかと思いきや、最後の最後で謎解きが始まって、思わぬ結末とそのいびつさに思わず震えてしまった。読後感が非常に悪く、何とも悪趣味なのだ。これが届かぬ想いの正体なのかと、これが表紙イラストの真意なのかと。感動系の話を期待して読むと、とんだしっぺ返しを食らうだろうと言っておく。