雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

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記憶の食卓

記憶の食卓

 著者名とタイトルが既にある種のネタバレになってしまっている作品。実際、表紙を見て思いついた通りのテーマが展開されていて、読んでいて何度か嫌気が差すのだけれど、改行が多く実に読みやすいので、牧野修がどういう作家なのかを知っていて、それに挑戦してみたいと思う人にはオススメ。逆にドロドロの牧野修が好きな人には、軽すぎるかもしれない。
 序盤のリーダビリティが最高に高い。名簿屋に勤務している男が、あるとき自分の情報がリストされている名簿を発見する。自分以外の人間に心当たりはなく、首を傾げているとテレビでその名簿に名前を列ねている人が殺されたと報道がなされる。知らないうちに自分の情報が流れていることも嫌だけれど、それ以上に他の人たちが殺されていっていると言うのがひとつのサスペンス。あの作家がこの書き出しで書いていたらどうなるだろうか、とつい夢想してしまう。