雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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 全七巻=十四冊(ふつうの文庫本だったら二十冊分相当ぐらいだろう)という巻数から構成される川上稔の創る壮大なシリーズの中の、AHEADシリーズの中の、終わりのクロニクルというひとつのシリーズの完結。川上稔の技量と彼の作品内世界観が持つ魅力の全てが凝縮された素晴らしい作品だった。もう途中から感覚が麻痺してしまい、果たして十全に楽しめたのかどうかは不確定だが、いやいや、凄まじかった。
終わりのクロニクル』は読んだけど都市シリーズは迷っている、都市シリーズは好きだけど『終わりのクロニクル』は迷っているという人に、ひとつ取り返しのつかないネタバレをさせてもらおう。

「つまり、冥府も天界も輪廻転生も、破壊と再生も、ありとあらゆることが現実となる。武神はきっと人のものとなって神の字を失い、機竜達も空行く船として宇宙までを縦横するようになるだろう。そして――、人々は文字や絵を力とし、多種族が共存する世界になるのだよ」
 彼は悠然とした口調で、言葉を続けた。
「この世界に不死はない。しかし今後、輪廻と遺伝の概念に導かれ、私と新庄君や他の皆は、いついかなるときでも出会っていくだろう。テキトーに記憶や意思を引き継ぎ、テキトーに忘れ、世界をもっとよく進化させていく。――必要ならば敵に回ることだってあるだろう」
(1056ページより)

 ありとあらゆることが現実となり、佐山や新庄その他大勢が出会っていく話が都市シリーズであり。まだ何もかもがありでなく、そこに至るまでがAHEADシリーズなのだ。