雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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905『溺レる』

溺レる (文春文庫)

溺レる (文春文庫)

 頽廃的だなあ。
 八編の短編からなる短編集、どの作品も短く、本自体も薄いのでわりとさらりと読める。最初のうちは恋愛物なのかなと首を傾げる程度だが、だんだん恋愛・セックス・逃避行・心中・SMといった要素が、具体的に露骨に描写されるようになってきて、愛するが故の死というテーマが見えてくる。「溺レる」は収録されている短編の一作だが、この本の題名としてこれ以上はないというぐらいに相応しい。
 心のガードが下がっているときに読むと少し危険かもしれない。ジャブを八連発で繰り出しているような作品なので、ノックアウトされることはないけれど、引きずられてしまうことは充分に考えられる。