雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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1187『ベラボー婦人』

 著者のしまてつこは「桑島由一と、その友人による複数人の文章作成ユニット。作業比率は流動的。ひっそりと活動中。ユニット名が女性の名前っぽい理由は『なんとなく受けがよさそうだから』。」とのこと。五編のショートショートから構成されている。しんみりとしてしまうものから、最後の一行で膝を打つものまで幅広くあって、面白く読むことが出来た。やっぱりベストなのは、表題作の「ベラボー婦人」だろう。一部、紹介したい。

 ベラボー婦人は、寝るときもべらぼうだった。肌が透き通って見えるネグリジェを身にまとい、ブランディーをたらして紅茶を飲む。明度にカップをさげさせると読みかけのトルストイの本を手に取ってこう言った。
「いつになったらコボちゃん出てくるのかしら」
 出てこねえし! べらぼうだ!
「めすすをかなのりかひにちうるありかひ」
 本、逆だし! べらぼう過ぎる!

 と、つまりベラボーとは「べらぼうめ!」のべらぼう、なのだ。