
リロ・グラ・シスタ―the little glass sister (カッパ・ノベルス)
- 作者: 詠坂雄二
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 新書
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とにかくこの語り口が魅力的だった。主人公の性質から物語そのものは淡々と進むのだが、そのシニカルでニヒルな口調に思わずにやけてしまい、ぐいぐいと読むことができた。この語り口に加え、学校という閉鎖空間を舞台とした推理探偵物に極めて弱い秋山としては、もう諸手を挙げて完敗の意を示すしかないだろう。つまり何が言いたいかというと、たいへん素晴らしい作品でした、ということ。こういうの大好き、次巻も楽しみで仕方がない。
以下、この本を読んだ他のひとの感想。
また主人公である探偵の私と対照させるかたちで、要所要所にさりげなく登場してみせる情報屋など、キャラの布陣においても伏線と騙しを絶妙に凝らしてみせる周到さは相当のもので、このあたりの技巧を取り上げてみるだけでも作者の本格ミステリにたいする意識は相当のものだと分かります。
http://blog.taipeimonochrome.ddo.jp/wp/markyu/index.php?p=1339
ありとあらゆる意味で惜しいなぁ、とゆーのがワシの正直な気持ちっす。作中に仕掛けた某ネタを成立させるべく、全てに気を使って作品を構成しているその心意気は素晴らしく良いのですが・・・いかんせんちとやり過ぎのよーな気が。ここまで過剰にやられちゃぁ「何かあるよな」と警戒しちゃうよなぁ。
http://d.hatena.ne.jp/NOBNOB/20070903/p2
ハードボイルド、学園、本格いずれも各構成要素は既視感のあるものだが、ブレンド具合がなかなか面白い効果を生み出している。ミステリに新地平を拓く作品ではないだろうが、3ジャンルの特徴を個性的に抽出した作品として、興味深く読める作品だ。
http://d.hatena.ne.jp/Wanderer/20070906#p1
本書の技術は巧みである。単に機械的なトリックだけでなく、その上にロジックでのトリック、そして錯誤のトリック、さらにそれらを組み合わせて事件のひとつの連なりを、「青春ミステリっぽく」仕上げているのだから大したものである。よく研究したのだろうし、愛も感じる。
http://d.hatena.ne.jp/architect/20070907/p1
設定は不協和音の塊だが、中身は一応ハードボイルド。それでいて最後は物理トリックが解明され、綾辻曰く「ぎりぎりの綱渡り(アクロバット)」が展開される。
http://d.hatena.ne.jp/hyouhaku/20070925#1190712049