読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3052ページ
貴族探偵
凡庸。探偵ではなく、使用人が推理を述べるという体裁には、目新しいものを覚えたけれど、中身は、取り立てて何もない。麻耶雄嵩が書くべき必要もなかったような佳作レベル。ただ「こうもり」のミスディレクションと「春の声」の反転っぷりは、面白かった。
読了日:11月07日 著者:麻耶 雄嵩
薔薇のマリアVer0 僕の蹉跌と再生の日々 (角川スニーカー文庫)
激烈に面白かった! の一言に尽きる。十文字青はデビュー時に気になったのだけれど、あいにくとお金がなくて買えなかった。もし、刊行当初に買っていたら、ずっと追っていたであろうと思う。もっと、この世界観に浸かっていたいと思う。
読了日:11月07日 著者:十文字 青
闇月王 (白泉社文庫)
読了後、静かに拍手を送りたくなるような、あっさりと心地よい作品。闇月王の、あの、そっけなさが好き。それにしても、解説を読んで、闇月王の名前の由来を聞いたときの脱力感……。
読了日:11月07日 著者:坂田 靖子
彼女のひとりぐらし 1 (バーズコミックスデラックス)
26歳独身フリーランサー。そんな彼女の、ゆるくもダメな日常を綴った作品。Tシャツにパンツ丸出しで、寝転がって『モンスターハンター』にふけている場面なんて、ほんとう涙がにじむ。
読了日:11月07日 著者:玉置 勉強
椿鬼 (1) (ぶんか社コミックスホラーMシリーズ) (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ)
後味の悪い作品ばかりであった。ホラーが好きなひとは、面白く読めるのかもしれないけれど、ちょっと人間の暗部が照らし出されすぎていたように思う。「ひかりの森」のグロさも苦手だけれど、「紅の谷」の精神的暗黒も苦手。
読了日:11月07日 著者:押切 蓮介
ACONY(3) <完> (アフタヌーンKC)
抜群に面白かった。3巻でさくっと終わってしまったのは、切ないけれど、案外、これぐらいがちょうどいいのかもしれない。しかし、アコニーの母親の謎は、ずいぶんとあっさりだったなあ。
読了日:11月07日 著者:冬目 景
きのう何食べた?(4) (モーニングKC)
テツさん、ヨシさんの二人組みがとても良いですね。「僕が今まで歯をくいしばって稼いできた金です。故郷の両親にはびた一文だって渡したくない」と、この後に続いた科白には戦慄した。これがゲイの愛か。
読了日:11月07日 著者:よしなが ふみ
CLOTH ROAD 9 (ヤングジャンプコミックス)
過去編として、若かりし日々のアルジャンヌが登場している。物語の要請上、仕方ないのかもしれないけれど、予想外に、きゃぴきゃぴしていて驚いた。ふわふわの科白や、飛び回るハートにに、終盤ちょっと息苦しさを感じたりもした。
読了日:11月07日 著者:okama
“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫)
冗長。魅惑的な謎があるからこそ最後まで読めるものの、結末にも納得が行ったとは言い難く、不完全燃焼の一言。読み終えた後、10分ほど、本書を、どう捉えれば傑作になるか考え、ひとつ思いついたが翌日には忘れてしまったので、やはり冗長な作品なのだろう。それはそうと「縛られた僕」であるところの語り手の境遇が凄い。ライトノベルの語り手で、未だかつてこんな語り手があっただろうか。そこだけは斬新だと思った。
読了日:11月16日 著者:高木 敦史
マリアビートル
最高のエンターテイメント小説! 東北新幹線という広くも狭い密閉された空間に集まった、数人の殺し屋とそれ以外。それぞれの思惑や打算、仕掛けや罠が交錯し、思いもしなかった箇所で、伏線が首をもたげる様には喝采を挙げずにはいられない。しかも、それが極上の文章で綴られているのだ。本読みとして、これは至福。エンターテインしながら、小説しているなんて、二重の喜びだ。キャラクタで言えば、果物のふたりがほんとうに好きだった、特に蜜柑のあのシーンには涙した。……ほんとうの悪人は、最後には必ず裁かれなくてはならない。絶対に。
読了日:11月16日 著者:伊坂 幸太郎
完全犯罪研究部 (講談社ノベルス)
読了後、1日ほど考え続けて、ようやく気がついた。確認するまでもなく、本作において、もっとも歪んでいるのは語り手である。そして通常、読み手は大人の語り手に共感し、過激で自堕落で向こう見ずな子どもたちに距離を覚えるのだ。しかし、この作品には、それがない。読み手と語り手の間には薄い膜があり、その膜は、作中の大人と子どもの壁よりも分厚い。まあ、そういうのは、さておき感心しなかった。けれども、同調できなかったからと言って遠ざけるのは違う。2巻も読む、前シリーズも読む、さらなる読みを自分自身に要求する。
読了日:11月23日 著者:汀 こるもの
喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)
iPhoneアプリで読んだ。素晴らしかった。受けた感動の量は、言葉では表現できないだろう。学問の深遠さと、それに魅せられてしまった学者の熱量と、騒々しいせかいでは生きられなくなった人間と、静かなせかいでは生きられなくなった人間と、僕と、喜嶋先生。切ない、あまりに切ない。人生で読んだ小説のなかで、五本の指に入るほど最高に素晴らしかった。素晴らしい小説は、価値観・人生観・世界観を変化させる。いまや、秋山のせかいは、あまりに騒々しく見えるようになってしまった。
読了日:11月28日 著者:森 博嗣
新世界崩壊 (講談社ノベルス)
稚拙、冗長、執拗。しかし、愛がある。人生に読める本は限られているわけだから、本来は、こんなの読んでいる場合ではないのだけれど、そうと分かっていつつ、つい手に取ってしまうのは、きっと倉坂鬼一郎のバカミスへの愛に魅せられているからだろう。と、きれいに終わらせておく。
読了日:11月29日 著者:倉阪 鬼一郎
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