雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

2012年第3四半期オススメ10冊

 3ヶ月に1回の、振り返りの時期になりましたよ、と。
 7月から9月にかけて読んだ本のうち、面白かった10冊を紹介しようと思います。例の如く、読んだのがこの時期である。と言うわけで、既刊も含みますので。

野崎まど『2』

2 (メディアワークス文庫)

2 (メディアワークス文庫)

 真っ先に取り上げたいのは、やっぱり、これですね。
 刊行が告知されてから首を長くして待ち続け、ようやく読むことが出来たのは、今まで野崎まどを追ってきた読者にとってご褒美とも言うべき、凄まじい作品でした。この作品に関して、どのように表現すべきか迷ったのですが「びっくりするのが大好き」というひとは黙って『アムリタ』から『2』まで1冊の本だと思って全部、読めばいいんじゃない? と言うのが、今のところの結論です。

友桐夏『星を撃ち落とす』

星を撃ち落とす (ミステリ・フロンティア)

星を撃ち落とす (ミステリ・フロンティア)

 続いてはこちら。
 友桐夏のデビュー作も、以降の作品も、正直なところ、そんなに好みではなかったのですが、創元のミステリ・フロンティアから出るのなら、ちょっと読んでみようかなと思い立った自分を褒めてやりたいほど素晴らしかったです。いくつもの仮面を被り、嘘を重ねたり、ときに素直になったりする少女たちの、危うい感じが、とても良かったですね。
 ここを改めてのスタート地点に、今後、色々な出版社から本が出せるようになると嬉しいですね。

麻耶雄嵩『メルカトルかく語りき』

メルカトルかく語りき (講談社ノベルス)

メルカトルかく語りき (講談社ノベルス)

 少し前の本ですが、いつまでも積んでおくのは、きっともったいないからそろそろ読むか……って、ちょー、おもろー! なんで、今まで積んでたの!? と絶叫せんばかりの大傑作でした。
 鋭利極まりない作品が、いくつも収録された、鬼のような短編集でした。どの作品も壮絶に面白かったですが、うん、やっぱり「密室荘」ですね。だって、君、これは愛だよ。

秋口ぎぐる『魔女館からの脱出』

魔女館からの脱出: キャット&チョコレート ゲームノベル (NEO GAME BUNKO)

魔女館からの脱出: キャット&チョコレート ゲームノベル (NEO GAME BUNKO)

 なんだかんだ言って忘れられない一冊ですね。
 ゲームブックと言うよりかは「脱出ゲーム」を小説という形態に落とし込んだような作品で、正直「脱出ゲーム」における隠されたヒントを探すように仕向けられている感が嫌いな秋山は辟易しながら読んだのですが、最後のラスボス戦を思い出すと軍配を挙げざるを得ません。だって、ねえ。あのページは今、思い出しても体温が上がりますよ。

沖ハサム『あやしや/いなき』

あやしや/いなき (講談社BOX)

あやしや/いなき (講談社BOX)

 これも忘れられない一冊ですね。
 なんでしょうかね、読んでいる間は究極的に面白いけれど、読み終わったら内容を微塵も思い出せないエンターテイメントがある一方で、読んでいる最中は退屈だし冗長だけれど、何故か、いつまでも心に引っかかるようなエンターテイメントがあるんですよね。この本は、後者でした。

河野裕サクラダリセット

 積んでいたことを後悔したシリーズ。
 まだ4作目までしか読んでいませんが、激烈に面白いですね。そもそもタイムリープという仕掛け自体が好物のなかの好物であるにも関わらず、今まで放っておいたことが疑問です。その上、主人公が、ちょっと悪寄りの頭脳派で、もう楽しくって仕方なかったです。今年度中に最新刊まで読みたいです。

森見登美彦有頂天家族

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

 森見登美彦は、あの特異な文体が最高の魅力であると同時に、一時期に一気に食べてしまうと飽きてしまうような珍味であるように思います。そんなわけで、ずっと積んでいたのを、気まぐれに崩してみたのですが、やっぱり読み始めると面白いんですよね。
 ずっと阿呆なことをやっている狸が、あるときふと真面目になるというギャップが超絶に燃えます。

十文字青『萌神』

萌神 (一迅社文庫)

萌神 (一迅社文庫)

 十文字青の第九高校シリーズとでも言うべき、この青春に後ろ向きと言うか、病んでる作品群は、ほんとうに読むのに体力を要します。特に『ヴァンパイアノイズム』が好きなんですが、今回は久々に不発だったかなあと思っていたら、最後の最後で超怒涛神展開が始まって吹きました。
 あの狂気の展開は、もう完全に作者病んでるだろうと思いつつも、ずぶずぶ引きずり込まれました。

チェスタトン『木曜日だった男』

木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)

木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)

 たまには海外の古典でも崩すかと手に取ったのですが、非常に面白かったです。
 詩情たっぷりの出だしには、やや怖気づきましたが、意外にキャラがしっかりしていて読みやすく、展開も面白く良かったですね。もう少し噛みしめたい感じなので、ちょっと時間を置いたら、再読したい作品。海外作品が苦手な秋山でも、すんなり読めたので、海外古典を読んでみたいなと思っている同志には、広く勧めたいですね。

西尾維新不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界

 このままではオススメの9冊になってしまうので、西尾維新の中では、やや微妙ではありますが、これも入れておきます。
 世界シリーズは、アンチミステリの観点から、意欲的だし、先鋭的なところもあって面白いのですが、この作品は、及第点まで、もう一歩かなという感じでした。ただ、期待値が高すぎたきらいもあるので、まあ、うん、でも、えー、まあ、こんなもんでしょう。

おわりに

 と言うわけで10冊でした。
 次のクォーターも面白い本に出会えますように。
 皆さまも、どうぞ素敵な四季を。