3ヶ月に1回の、振り返りの時期になりましたよ、と。
7月から9月にかけて読んだ本のうち、面白かった10冊を紹介しようと思います。例の如く、読んだのがこの時期である。と言うわけで、既刊も含みますので。
野崎まど『2』
- 作者: 野崎まど
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2012/08/25
- メディア: 文庫
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刊行が告知されてから首を長くして待ち続け、ようやく読むことが出来たのは、今まで野崎まどを追ってきた読者にとってご褒美とも言うべき、凄まじい作品でした。この作品に関して、どのように表現すべきか迷ったのですが「びっくりするのが大好き」というひとは黙って『アムリタ』から『2』まで1冊の本だと思って全部、読めばいいんじゃない? と言うのが、今のところの結論です。
友桐夏『星を撃ち落とす』
- 作者: 友桐夏
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/06/28
- メディア: 単行本
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友桐夏のデビュー作も、以降の作品も、正直なところ、そんなに好みではなかったのですが、創元のミステリ・フロンティアから出るのなら、ちょっと読んでみようかなと思い立った自分を褒めてやりたいほど素晴らしかったです。いくつもの仮面を被り、嘘を重ねたり、ときに素直になったりする少女たちの、危うい感じが、とても良かったですね。
ここを改めてのスタート地点に、今後、色々な出版社から本が出せるようになると嬉しいですね。
麻耶雄嵩『メルカトルかく語りき』
- 作者: 麻耶雄嵩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/05/10
- メディア: 新書
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鋭利極まりない作品が、いくつも収録された、鬼のような短編集でした。どの作品も壮絶に面白かったですが、うん、やっぱり「密室荘」ですね。だって、君、これは愛だよ。
秋口ぎぐる『魔女館からの脱出』
魔女館からの脱出: キャット&チョコレート ゲームノベル (NEO GAME BUNKO)
- 作者: 秋口ぎぐる,J's publishing,リヨ
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2012/09/08
- メディア: 文庫
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ゲームブックと言うよりかは「脱出ゲーム」を小説という形態に落とし込んだような作品で、正直「脱出ゲーム」における隠されたヒントを探すように仕向けられている感が嫌いな秋山は辟易しながら読んだのですが、最後のラスボス戦を思い出すと軍配を挙げざるを得ません。だって、ねえ。あのページは今、思い出しても体温が上がりますよ。
沖ハサム『あやしや/いなき』
- 作者: 沖ハサム,荒川
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/07/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なんでしょうかね、読んでいる間は究極的に面白いけれど、読み終わったら内容を微塵も思い出せないエンターテイメントがある一方で、読んでいる最中は退屈だし冗長だけれど、何故か、いつまでも心に引っかかるようなエンターテイメントがあるんですよね。この本は、後者でした。
河野裕『サクラダリセット』
サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY (角川スニーカー文庫)
- 作者: 河野裕,椎名優
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/05/30
- メディア: 文庫
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まだ4作目までしか読んでいませんが、激烈に面白いですね。そもそもタイムリープという仕掛け自体が好物のなかの好物であるにも関わらず、今まで放っておいたことが疑問です。その上、主人公が、ちょっと悪寄りの頭脳派で、もう楽しくって仕方なかったです。今年度中に最新刊まで読みたいです。
森見登美彦『有頂天家族』
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/08/05
- メディア: 文庫
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ずっと阿呆なことをやっている狸が、あるときふと真面目になるというギャップが超絶に燃えます。
十文字青『萌神』
- 作者: 十文字青,ま@や
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2010/07/17
- メディア: 文庫
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あの狂気の展開は、もう完全に作者病んでるだろうと思いつつも、ずぶずぶ引きずり込まれました。
チェスタトン『木曜日だった男』
- 作者: チェスタトン,南條竹則
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/05/13
- メディア: 文庫
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詩情たっぷりの出だしには、やや怖気づきましたが、意外にキャラがしっかりしていて読みやすく、展開も面白く良かったですね。もう少し噛みしめたい感じなので、ちょっと時間を置いたら、再読したい作品。海外作品が苦手な秋山でも、すんなり読めたので、海外古典を読んでみたいなと思っている同志には、広く勧めたいですね。
西尾維新『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』
不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)
- 作者: 西尾維新,TAGRO
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/12/05
- メディア: 新書
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世界シリーズは、アンチミステリの観点から、意欲的だし、先鋭的なところもあって面白いのですが、この作品は、及第点まで、もう一歩かなという感じでした。ただ、期待値が高すぎたきらいもあるので、まあ、うん、でも、えー、まあ、こんなもんでしょう。
おわりに
と言うわけで10冊でした。
次のクォーターも面白い本に出会えますように。
皆さまも、どうぞ素敵な四季を。