雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

第8回「名古屋読書会・競馬スペシャル」参加レポート

 翻訳ミステリー大賞シンジケートでは、有志が幹事役として名乗りを上げて、日本全国で読書会が開催されていますが、この度、名古屋読書会に参加させて頂きました。課題図書はディック・フランシスの『度胸』、競馬ミステリです!
 晴れていたので自転車で向かったのですが、さすがに栄から名駅までは通行人が多く、信号で待たされたし、歩道橋を渡るはめになりました。だいたい11キロを40分で走りました。ちなみに帰りは真っ直ぐ帰ったら9キロ30分でした。
 18時10分受付開始とのことで、だいたい18時15分くらいに会場に入ったのですが、もう席が8割方、埋まっていて驚きました。と言うか、女性率が非常に高くて気後れしました。普段、ゲーム会だと男性の方が多いので、なんとなくそういう場に慣れてしまったきらいがあります。
 下記、かんたんにレポートを。

前半

 前半は3グループに分かれ、それぞれに自己紹介がてら感想を述べたり、特定のテーマに沿って全員で議論したりといった形でした。総参加者が50名ほどだったので、1グループあたり17名ほどでしょうか。それぞれのグループに司会がひとりいて、話を振りながらホワイトボードにキーメッセージをメモられていました。
 秋山は名古屋読書会の旗を振っている大矢博子さんのグループでした。他の参加者は、自己紹介順に、キヨさん、えりさん、田嶋みかさん、ぎすけさん、水上かなみさん、朝井さん、みりんさん、鈴木恵さん、神尾梧郎さん、敦子さん、XiXiさん、オサムさん、北上次郎さんでした。ちなみにこの内、男性は5名……だったかしら。
 皆さん歴戦の翻訳ミステリ読みなのかしらと、内心、ドキドキしていたのですが、司会の大矢さんが「ちなみにこの中でディック・フランシスを初めて読んだという方は、何名くらいいらっしゃいますか」という問いに、ほとんどの方が手を挙げていたので、ちょっと安心しました。
 その他、色々とメモったので、言及された内容を箇条書きにします。


・昭和のエンターテイメント風の雰囲気がある。
・新しい。今、読んでもぜんぜん古くさくない。
・脇役が良かった。特にグラントは、ずっと嫌なやつだったのに、いきなり玩具屋を始めて可愛かった。
・トルコ風呂は果たしてサウナ風呂なのか、ピンク的な意味なのか……。
・主人公の凄さや、ヒロインの凄さを含め、男性のドリームに満ちている。
・レースシーンが3回しか描かれない。7行、14行、4枚と、どんどん長くなっている。
・今、犯人が最初から分かっていて、いかにも展開がシンプルである。
阿佐田哲也麻雀放浪記は麻雀を知っていればより面白いが、ディック・フランシスの競馬シリーズは競馬を知っていればより面白いわけではない。競馬を知らなくても面白い。
・菊池光は読みにくいことが多いが『度胸』は読みやすい。
・競馬物で言えば『黒人ダービー騎手の栄光』が面白い。
・245ページはシェイクスピアの引用と思われる。ディック・フランシスの作品では、しばしばこの手の引用が見られる。
・表紙が新宿鮫っぽい。


 その他、終盤において描かれる復讐については賛否が分かれ、度々、議論が交わされました。生ぬるい、もっと激しくやるべきだという意見から、これで充分だとか、なくて良かったという方まで。
 特に意識せずに読んで、読み終えてしまいましたが、話を聞いていて「なるほど」と感じました。確かに、どの意見にも納得です。秋山個人としては、あれで適切ないし、なくても良かった……かな。

後半

 後半は北上次郎さん、田口俊樹さん、鈴木恵さん、加賀山卓朗さん、永嶋俊一郎さん、蓮見恭子さんが登壇され、参加者からの質問に答えるという形式でした。
 ほぼ全てメモったのですが、中にはオフレコ的なものもあったので、公開しても大丈夫そうなものだけ記します。


Q.この読書会でディック・フランシスを初挑戦した方に『度胸』の次にオススメなものを教えてください。
加賀山さん「『大穴』がオススメ、個人的に好きなのは『利腕』だけど」
鈴木さん「『興奮』がいいですね」
蓮見さん「『度胸』がいちばん好きなんですよね。その次に好きなのは、今のところ出てないところで挙げるなら『重賞』」
北上さん「『大穴』と『利腕』をセットで勧めたい」
田口さん「あまり読んでないので分かりません(笑)」
永嶋さん「本格好きには『興奮』を勧めます、不可能犯罪が描かれています。『大穴』『利腕』を読まれた方は、同じテーマの『証拠』も読んでみてください」


Q.菊池光を味わうなら?
田口さん「ロバート・B・パーカーの訳は優れてますね」
加賀山さん「パーカーはエレガントですね。菊池色の強さで言えば『骨折』がオススメです」
大矢さん「『まるで天使のような』は菊池光が訳した、唯一の女性作家で、そういった観点からも興味深いですね。マーガレット・ミラーの中でも特例だと思います」


Q.未知の領域を書くことについて
蓮見さん「とにかく調べます。ネットや本、文献にはもちろん当たりますし、現地にも行って雰囲気を味わいます。現状維持はダメ、苦手な仕事もどんどん引き受けていくのが大事です」


 一部、発言通りではないですが、ご容赦ください。

おわりに

 非常に楽しい会でした。
 新しい発見も多く、ゲストの方々の発言も示唆に富んでいました。特に、北上次郎は、さすがに視野が広く、創作に関する発言の中では蓮見恭子はプロ意識が強く、熱意が伝わってきました。
 二次会は辞退したのですが、思いのほか参加される方が多く、少し後悔しました。次回は万難を排して参加したい所存。


 上述の記載の中で、不都合なものがあればご連絡ください。削除等、対応します。

度胸 (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-5 競馬シリーズ)

度胸 (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-5 競馬シリーズ)