ウヴェ・ローゼンベルクによる交渉ゲーム『ウェンディのホースバザール』の感想です。
ドイツでは人気ドラマであるらしい作品とのコラボとのことですが、中身的には『ボーナンザ』の独立型拡張となります。
『ボーナンザ』との大きな違いはテーマが、豆から馬になっていることです。
対象が馬になったことに準じて、畑から厩舎になったり、ターラーからバッジになったりしています。同じ系統の馬カードを重ねることで、その馬を育成し、育ちきったところで出場させると多くのバッジを稼ぐことができる、というようなイメージでしょうか。
ルール的な差異としては、まず3番目の畑ならぬ厩舎が存在しません。
また、仔馬カードが加わっています。
仔馬カードが列のてっぺんにいるときは換金することができず、これは『レディボーン』にあった子ども豆と同じ機能です。『レディボーン』の感想については、こちら。
『レディボーン』の子ども豆と仔馬の大きな違いは、山札からめくられて公開されたときの挙動です。
通常、山からめくられたカードは交渉の対象になりますが、『ウェンディのホースバザール』における仔馬カードは、めくられた瞬間に、同系統の馬をいずれかのプレイヤが育てている場合、即座に、
「おとーさーん!」
と叫んで近づくかのように、その山にするっと入ってしまうのです(尚、手番プレイヤは、その分、新たにカードをめくりなおします)。
このルールは、けっこう悲喜こもごもで、育てている最中に仔馬が来てくれるのは、馬が育つことになるので嬉しいハプニングですが、換金のタイミングを見定めていたプレイヤにとっては悲劇です。前述の通り、仔馬カードが一番上に来ているときはバッジにできないわけですから。
ランダム性が高められ、より初心者向けになった……と言うわけでもなく、仔馬来襲の危険性を考慮し続けなければならないため、ゲームとしての難易度は上がったと言えます。子ども向けを装ったかわいいパッケージのわりにこれだからひどいものです。
と言うわけで、どちらかと言うと『ボーナンザ』に飽きたひとにこそ勧めたい一作でした。