雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

945『出口のない部屋』

出口のない部屋 (ミステリ・フロンティア)

出口のない部屋 (ミステリ・フロンティア)

 始まって五ページで作中作であることが明かされる。本書の大半を構成しているのは作中作ではなく、作中作に出てくる登場人物の背景であり、「出口のない部屋」に閉じ込められた三人の因果関係こそが本書の主題だろう。どうしてこの作中作が書かれたのか、という動機の点においては斬新だと思うが、その他の部分はやや陳腐で、その陳腐さに作者が自己言及している点まで含め、頷くことができない。けれど、悪意を描いているわりに筆致に嫌味はなく、構造がキッチリしており、曖昧さや物語が拡散してしまっている感がしないので、それなりに読ませてくれる。まあまあ、と言ったところか。