雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

ライトノベル論壇には誰がいるのか?

 最後に、東浩紀桜坂洋「キャラクターズ!」について。このブログをお読みの方であればもちろん今年の《新潮》11月号はチェック済みですよね? ライトノベル論壇(そんなものがあるのか?)がこの作品をどうさばいていくのか、しばらく注目である。

 今年のライトノベルを巡る情勢が軽くおさらいされていて、いい記事だなあと思っていたら、最後に「ライトノベル論壇」という言葉が出てきて「ん!?」と首を傾げました。

ライトノベル論壇って?

 ライトノベル論壇がどういったひとたちを指すかは、よく分かりませんが、なんとなくのイメージとしてはこのライトノベルがすごい!』や『まんたんブロード』に書いているライターがそうなのかなという気がします。と言うのも、今現在、ユーザがライトノベルに関する情報を得ることのできるルートは、『このラノ』や『まんたん』を手に取るか、レーベルの公式サイトか発行している雑誌、もしくは文庫についている小冊子ぐらいじゃないですか。となれば、レーベルとしては、『このラノ』『まんたん』を味方につけるか、自社の宣伝媒体にちからを入れるのは重要であるように思います。ところが、もしライトノベル論壇=『このラノ』『まんたん』にスルーされ、大人の事情から宣伝にもちからが入れることが出来なかった場合はどうなってしまうのか? どうなってしまうのでしょう。

ライトノベル論壇に言及されなかったライトノベルとして、

 真っ先に思い浮かんだのは『ファントム』『FICTION ZERO/NARRATIVE ZERO』です。
 これはあくまで秋山の印象でしかないですが、このふたつの雑誌は、どちらも創刊宣言や編集後記などにライトノベルに対する言及が多くなされていました。どちらもライトノベルを意識しており、ライトノベルと比較されることを、もしくは取り込まれることを意識していた雑誌です。
 しかし、書店という現場においても、ネット上においても、このふたつはそれほど取り上げられていたようには思いません。
 後は『あるゾンビ少女の災難』と『魔神館事件』もそうですね。電撃と富士見に続くかたちで、角川がハードカバーのライトノベルに参入したように見えましたが、見事にスルーされたように思います。また、本ミスの感想を書いた際に取り上げた、新風舎文庫刊のライトノベルもそうですね。

その一方で、

 独自路線を走っている『ファウスト』や『講談社BOX』および『パンドラ』などは、従来のライトノベルレーベルとの関わりが薄いにも関わらず『このラノ』『まんたん』で取り上げられています。注目を集めやすい西尾維新ひぐらしガンダムといった要素を抱えているからかもしれませんが、それを言えば『ファントム』や『FICTION ZERO/NARRATIVE ZERO』だって、それなりに話題を呼びそうな面子を揃えていました。
 また、まだライトノベルレーベルに参入するらしいということしか分かっていない一迅社は『このライトノベルがすごい!2008』で取り上げられ、ライトノベル系ニュースサイトのid:kim-peaceさんのところで紹介されるなど、注目を集めています。
 この差はいったいどこから生まれてくるのでしょうか……?

追記

 後は講談社文芸図書第四出版部が編集した作品も、スルーされがちですね。

結論としては、

 分かりません(ばっさり
 とは言え、個人的には勿体ないなあと思います。
『ファントム』にせよ『FICTION ZERO/NARRATIVE ZERO』にせよ、それなりに売り上げが出ていれば第2号が出ていたかもしれないと思うのです。『あるゾンビ少女の災難』と『魔神館事件』が売れていたら、角川はもっとハードカバーを出していたかもしれません。そうなれば、もしかしたらすごい面白い作品が読めていたのかもしれないのです。そう思うと、残念でなりません。

追々記

 当エントリは『このライトノベルがすごい!』や『まんたんブロード』がライトノベル論壇を形成しているとして、これを糾弾しているものではないことをお断りさせていただきます。
 ただ単に、ライトノベル論壇って誰のことだろう? という疑問の提示と、スルーされた様々な雑誌と本がもう少し注目を浴びていれば良かったなあ、と思っていただければ幸いです。